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中国のバスの運転手はリストバンドで感情を監視されている


中国で、体温・心拍数・血中酸素濃度を測定できるリストバンドがバスの運転手に配布されたと報じられています。このリストバンドはリアルタイムで装着者の感情をモニタリングできるとのことで、中国国内からは不安視する声があがっています。

Beijing bus drivers have been told to wear wristbands to monitor their emotions | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/china/politics/article/3193577/beijing-bus-drivers-have-been-told-wear-wristbands-monitor


リストバンドは、北京で5年に一度開催される共産党大会を数週間後に控えて導入されました。中国政府関係者は、大会前と大会期間中の社会的リスクを最小限に抑えるよう繰り返し指示しているとのこと。また、リストバンドが配布された背景には、貴州省南部の貴陽市で、検疫所に向かう途中のバス事故で27人が死亡、20人が負傷したことがありました。

バスの運転手が取り付けられたリストバンドは、体温、心拍数、呼吸数、血中酸素濃度、運動量、血圧、睡眠をモニターします。また、不安などの感情もモニターすることができ、そのデータは公共交通機関がリアルタイムで公開するそうです。

South China Morning Post(SCMP)によると、県をまたがる路線や高速道路のバス運転手に約1800個のリストバンドが配布されたとのこと。何人の運転手が装置を身に着けるように要求されるかは明らかになっていません。当局は、運転手の安全性を向上させるため、リアルタイムで運転手のバイタルサインと感情状態を監視する目的で使用すると述べています。


中国ではここ数カ月、電子リストバンドが人々を監視するために使われているという報告があがっています。2022年7月には、北京のある施設の職員が、中国の他の地域から帰国して新型コロナウイルスの自宅隔離を受けている間は体温を監視するためにリストバンドを装着するよう住民に指示したことから、世間から反発を受けました。

北京のJingsh法律事務所のサイバーセキュリティ担当主任であるWang Congwei氏は、「当局の決定は近年、交通事故が頻発しているため、公共の安全をより考慮したものと思われます。しかし、バスの運転手からこれほど多くの個人情報を収集する必要が本当にあるのかを検討しなければなりません」と述べました。またWangさんは、リストバンドで異常を検知した場合、リアルタイムでデータを収集しても介入する時間があるかどうか疑問視しており、「リストバンドで取得したデータは、事故解析の目的で事故が起こった後からしか利用できません」とコメントしています。

また、香港大学法学部のCalvin Ho Wai-loon准教授は、リストバンドから取得されるデータの精度が問題であると指摘し、「不正確な情報は、不当な苦痛や不当な差別をもたらす可能性があります」と述べています。

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in ハードウェア,   乗り物, Posted by log1i_yk

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