「スマホユーザー」と「ノートPCユーザー」ではどっちのほうがウソつき?
インターネットユーザーの中には、「SNSのチェックはスマートフォンで、Netflixの視聴はノートPC」といった具合に、デバイスを使い分けながらネットを活用している人も多いはず。使用する端末が人の行動に及ぼす影響を調べた研究により、人がうそをつく傾向はデバイスによって違いが現れることが分かりました。
Lies are more common on laptops than on phones – how devices may shape our behavior when bargaining with strangers
https://theconversation.com/lies-are-more-common-on-laptops-than-on-phones-how-devices-may-shape-our-behavior-when-bargaining-with-strangers-187326
アメリカ・ラトガース大学でマネジメントとグローバルビジネスを研究しているTerri R. Kurtzberg氏らの研究チームは、経済学者の間で「最後通牒ゲーム」と呼ばれる実験を通じて、スマートフォンを使っている時とノートPCを使っている時とで人の行動がどう変化するかを調べる研究を行いました。
「最後通牒ゲーム」とは、2人のプレイヤーのうち片方に一定の金額を与えて、それをもう片方のプレイヤーと分けさせるゲームです。お金を受け取ったプレイヤーは、いくら分けるかを自由に決めて相手に提案することができますが、もう片方がそれに納得しなかった場合は両方ともお金を得られません。
今回の研究では、137人の大学生が参加し125ドル(約1万8000円)を分け合うという想定でゲームに臨みました。分け前の提案に関する交渉の際、半数のグループはノートPCを、もう半分のグループはスマートフォンを使用しました。
実験の結果、どのデバイスを使った参加者もある程度のウソをつきましたが、ノートPC使用者はスマートフォン使用者よりウソを付きやすいことが判明しました。具体的には、スマートフォン使用者の62%がもらったお金の額を実際より少なめに伝えたのに対し、ノートPC使用者では82%と20ポイントもの差が付いたとのことです。
研究チームはまた、架空の半導体製造工場の売買交渉をテーマにした別の実験も行いました。この実験では、222人の対象者を買い手と売り手に分けてから、買い手にだけ「この工場の市場価格は2100万ドル(約30億2000万円)と見積もられています」と伝えました。
そして、最初の実験と同様にノートPCとスマートフォンに分かれて交渉をしてもらったところ、ノートPC使用者のグループの買い手が売り手に伝えた市場価格は平均1670万ドル(約24億円)で、スマートフォン使用者の場合は1810万ドル(約26億円)と、やはりノートPCを使った人の方がウソの度合いが大きいという結果でした。なお、どちらのケースでも買い手は最終的に、自分が売り手に伝えた市場価格に少しだけ上乗せした買収額を売り手に提示していたとのことです。
この差が生まれた原因を探るため、研究チームが別の参加者に各デバイスのイメージを尋ねる調査を実施したところ、スマートフォンは「友人」や「家族」を連想させ、ノートPCは「仕事」「成功」「達成感」を連想させていました。過去の研究では、このようなビジネス的なイメージは非倫理的な行動を誘発するということが示されています。
電子機器の普及の影響を調べる過去の研究では、電子メールでやりとりすると紙とペンを使う場合よりウソをつきやすく、非協力的で、相手を否定的に評価しがちであることが分かっていますが、今回の研究では電子機器でも種類ごとに違いが出ることが示唆されています。
この結果から研究チームは、「意思決定におけるテクノロジーの利用は私たちの脳を微妙に、しかし根本的に変化させる可能性があります」と結論付けました。
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