ハードウェア

ジャネット・ジャクソンのヒット曲を再生すると古いHDDがクラッシュする脆弱性が話題に


ジャネット・ジャクソンが1989年にリリースしたヒット曲「Rhythm Nation」を再生すると、古いPCに搭載されているHDDが故障するという事態が報告されています。

Janet Jackson had the power to crash laptop computers - The Old New Thing
https://devblogs.microsoft.com/oldnewthing/20220816-00/?p=106994


Old laptop hard drives will allegedly crash when exposed to Janet Jackson music | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/08/janet-jacksons-rhythm-nation-is-officially-a-security-threat-for-some-old-laptops/

ジャネット・ジャクソンの「Rhythm Nation」を再生するとHDDが故障するという脆弱性は、サーバーセキュリティ分野などでアメリカ政府をサポートするThe MITRE CorporationによりCVE IDが発行されました。

問題の脆弱性は「CVE-2022-38392」で、2005年頃にノートPCと共に出荷された回転数が5400rpmの特定のOEM製HDDで「Rhythm Nation」を再生すると、楽曲のオーディオ信号が共振周波数攻撃を介して物理的に接近した攻撃者がサービス拒否(デバイスの誤作動やシステムのクラッシュ)を引き起こすことができるようになる、というものです。

MicrosoftのソフトウェアエンジニアであるRaymond Chen氏によると、「CVE-2022-38392」はもともと大手コンピューターメーカーにより発見された脆弱性です。Rhythm Nationを再生しているノートPCだけでなく、Rhythm Nationを再生しているノートPCの周辺に存在する機器にも影響を与える可能性があります。


問題が生じるHDDやノートPCのモデルが特定されていないため、脆弱性を再現することは非常に困難であるとテクノロジーメディアのArs Technicaは指摘しています。なお、Ars Technicaは「Windows XP時代のノートPCのHDDの中には20年近く経った今もどこかで売れ続けているものがあるのかもしれませんが、そのほとんどは寿命を迎えているでしょう」とも記しています。

HDDを意図せず故障させてしまうという「Rhythm Nation」は以下から視聴できますが、古いHDD搭載のノートPCを利用している人は自己責任で再生してください。

Janet Jackson - Rhythm Nation - YouTube


この問題が該当するノートPCが出荷される際、PCメーカーにより問題は部分的に解決されています。Chen氏によると、PCメーカーによる問題解決方法は「オーディオパイプラインにカスタムフィルターを追加し、オーディオ再生中に問題のある周波数を検出・除去すること」だそうです。ただし、これらのノートPCも周囲で「Rhythm Nation」が再生されるとHDDがクラッシュしてしまうため、完全に問題が解決されているというわけではありません。また、「Rhythm Nation」は2000年代初頭には明らかに人気が低迷したため、この問題が広く認知されることはありませんでした。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
HDD故障率のメーカー・モデル別統計データ2021年版、故障率が最も高かったのは? - GIGAZINE

合計18万台近いHDDの故障率レポート2021年Q2版をBackblazeが公開、HDDとSSDの故障率比較も - GIGAZINE

HDDが大容量化しても「RAIDを恐れなくてもいい」理由とは? - GIGAZINE

人には聞こえない音を流してハードディスクを物理的に破壊しブルースクリーンを引き起こす「ブルーノート」 - GIGAZINE

4万台以上のHDDを運用して得たモデル別故障率の「生データ」が公開されダウンロード可能に - GIGAZINE

in ハードウェア,   動画,   セキュリティ, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.