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違法な中絶を行った17歳少女のプライベートチャットをMetaが同意なしに警察へ提供、本人と母親が起訴される


2022年6月にアメリカで「女性の人工妊娠中絶を規制する法律」を憲法違反とするロー対ウェイド判決が覆され、「中絶を禁止する州法」の制定が可能となったことが議論を呼んでいます。そんな中、アメリカ・ネブラスカ州で発生した17歳の少女と母親による違法中絶事件に関連し、Facebookを運営するMetaがプライベートチャットを本人の同意なしで警察に提供していたと報じられました。

This Is the Data Facebook Gave Police to Prosecute a Teenager for Abortion
https://www.vice.com/en/article/n7zevd/this-is-the-data-facebook-gave-police-to-prosecute-a-teenager-for-abortion

Facebook turned over chat messages between mother and daughter now charged over abortion
https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/facebook-turned-chat-messages-mother-daughter-now-charged-abortion-rcna42185

Teen’s jailing shows exactly how Facebook will help anti-abortion states | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/08/teens-jailing-shows-exactly-how-facebook-will-help-anti-abortion-states/

2022年4月、ネブラスカ州在住で当時17歳だったセレステ・バージェスは、妊娠28週目(妊娠後期、このタイミングでの出産は早産)だった胎児を中絶するため、母親のジェシカ・バージェスと共謀して「Pregnot」という妊娠中絶薬を購入しました。一般にPregnotは妊娠初期の中絶に使われるものですが、バージェス親子は医師を通さない非公式のルートで入手したとのこと。セレステは入手したPregnotを服用して胎児を死産し、親子はタナー・バーンヒルという22歳の男と共に、証拠隠滅のために胎児を燃やした上でネブラスカ州ノーフォークの田舎に埋めました。

ネブラスカ州法では中絶そのものは禁止されていないものの、中絶が可能なのは妊娠20週目までに制限されており、それ以降は「重大な身体機能に回復不能な障害が及ぶ危険性」がある場合のみ、医師によって中絶することが認められています。そのため、すでに妊娠28週目だったセレステは医師による中絶を受けられず、自ら服薬することによる違法な中絶を選んだとみられています。なお、この法律はロー対ウェイド判決が覆される以前から存在するものであり、最近新たに20週目以降の中絶が違法化されたというわけではありません。


その後、セレステの家族の1人がノーフォーク警察署に「セレステが死産と思われる早産をした」という情報をもたらしたことで捜査が開始。警察は埋められた胎児を発見し、肺の中に空気が入っていなかったことを確認しました。これは胎児が死んだ状態で出産された可能性が高いことを示唆する証拠ですが、出産直後にビニール袋などをかぶせて窒息死させた可能性も残っており、警察は「死産だったのか出産後に殺したのか」を調査する必要に迫られたそうです。

捜査に当たったノーフォーク警察署のベン・マクブライド刑事は、セレステの取り調べを通じて「中絶の決行日をFacebookのメッセンジャーアプリで決めた」と考え、Facebookの所有者であるMetaにデータを要求しました。Metaは要求に応じて、バージェス親子がFacebookのサービスでやり取りしたすべてのプライベートメッセージ、写真、IPログなどを提供したとのこと。これらのデータからセレステが中絶薬を服用して胎児を死産したことが示唆され、その後の家宅捜索によるノートPCやスマートフォンの押収にもつながりました。


マクブライド氏は法廷で、「私は訓練や経験、その他のベテラン捜査官との会話から、犯罪に関与する人々はさまざまなソーシャルネットワークサイトで犯罪について頻繁に会話することを知っています」「セレステ・バージェスは、早くこの『thing(もの)』を体から出したいと語り、その後証拠を燃やすことをジェシカ・バージェスと再確認しています」と証言しました。

捜査の結果、母親のジェシカは「妊娠20週を過ぎた後で中絶を試みた」「無免許でありながら中絶を行った」「死体隠匿・遺棄を行った」という3つの重罪を含む計5つの罪で7月に起訴されました。また、娘のセレステも成人として裁判にかけられており、死体隠匿・遺棄や違法な埋葬に関連する3つの罪で起訴されているほか、死体隠匿を手伝ったとしてバーンヒルも起訴されています。裁判官は、「本件の証拠によれば、出生または死産した乳児が被告またはその他の協力者によって運ばれ、当該遺体を正規の埋葬地ではない場所に、死亡診断書の発行または死因証明書なしに埋葬していることが認められます」と述べています。


バージェス親子が行った「妊娠28週目における医師ではない人物による中絶および違法な埋葬」は、ロー対ウェイド判決が覆される以前からネブラスカ州では違法とされている行為です。しかし、Metaがバージェス親子の同意なしでさまざまなデータを警察に提供したことは、中絶禁止法の制定が可能となったアメリカにおいて、大きな懸念を引き起こす事例だと指摘されています。

デジタル著作権を推進するシンクタンク・民主主義とテクノロジーセンターの副ディレクターを務めるJake Laperruque氏は、より多くの州が中絶関連の犯罪を訴追するようになれば、中絶を意図したユーザーの情報を保持するハイテク企業に対して令状が出される可能性が高いと主張。「企業が中絶捜査のためにデータを引き渡し続けるのを望まないなら、データ収集・保存・暗号化に関する慣行を考え直す必要があります」と述べました。

なお、Metaの広報担当者は今回のデータ提供について、「6月上旬に地元の法執行機関から受け取った有効な令状には、中絶については何も言及されていませんでした。令状は犯罪捜査に関するもので、裁判所の文書によると、警察は死産した赤ちゃんが焼かれ、埋められた事件を捜査していたとのことです」とコメント。また、令状には秘密保持命令が伴っていたため、データ提供に関する通知をバージェス親子に行えなかったと述べています。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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