Metaが200の言語で機能するAI翻訳モデルをオープンソース化、 メタバースで世界中の人々が交流できることを目指す
メタバース事業に注力するMetaは、すべての言語をリアルタイムで翻訳するAI「Babelfish(バベルフィッシュ)」を開発中と2022年2月に発表していましたが、同様のプロジェクトの一環として、最新のAIモデル「NLLB-200」を公開しました。NLLB-200は200種類におよぶ言語翻訳のテクノロジー全体の品質を平均44%向上させることが可能と発表されており、他の研究者が翻訳ツールを改善して作業を強化できるように、AIをトレーニングするコードやデータセットを再作成するためのコードなどを含めて開発者向けにオープンソース化しています。
New AI Model Translates 200 Languages, Making Technology Accessible to More People | Meta
https://about.fb.com/news/2022/07/new-meta-ai-model-translates-200-languages-making-technology-more-accessible/
No Language Left Behind: Scaling Human-Centered Machine Translation - Meta Research
https://research.facebook.com/publications/no-language-left-behind/
200 languages within a single AI model: A breakthrough in high-quality machine translation - YouTube
翻訳AIモデル「NLLB-200」は「No Language Left Behind(どの言語を使っていても取り残されない)」という言葉の頭文字を取ったものであり、同様の言葉は「NLLB-200」についてMetaの関係者たちが翻訳AIについてのインタビューに応えるムービーでも理念として語られます。
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは「No Language Left Behind」プロジェクトについて、言語を超えてコミュニケーションを取ることは、AIが提供する一つの超能力です」と述べています。ザッカーバーグCEOによると、200の言語モデルは50億個以上のパラメータを持ち、世界最速のAIスーパーコンピューターを用いて訓練することで、アプリ全体で毎日25億以上の翻訳を可能にしたとのこと。
Metaの翻訳AI開発は2022年2月に「FLORES-101」として本格的に発表されていました。ザッカーバーグCEOは同時期に「ユニバーサル翻訳プロジェクトとして瞬時にあらゆる言語を翻訳できるAI『Babelfish』を開発中」と発表しましたが、その最初のステップとなるのが新しい機械学習技術を導入してより少ない学習量で言語を翻訳するAIモデル「No Language Left Behind」です。2022年7月6日の発表では、Metaは「重要なブレイクスルーを経験しました」と述べ、新たに構築された「NLLB-200」は以前のAI調査結果と比べて翻訳の品質スコアが平均44%向上しているほか、話者の少ない言語にも積極的に取り組んでいることを発表しています。
Metaは開発者向けに「NLLB-200」モデルおよび「FLORES-200」というデータセットを公開した他、国連の持続可能な開発目標や食料安全保障、ジェンダー、教育などに焦点を当てた研究や非営利団体がNLLB-200を使用する際に最大20万ドル(約2700万円)の助成金を授与するとしています。助成金はNLLB-200を使用して2つ以上のアフリカ圏の言語を翻訳する意図がある団体や研究者が応募でき、活動を支援すると共にさらなるデータセットの向上を意図しています。Meta AIの調査研究者であるフィリップ・コーエン氏はNLLB-200について話すムービーの中で、「自分の言語に関心がある人の方が翻訳を向上するのに最適な人材だと思います」と話しています。
Metaは最後に、多くの人々が自らが好み、最も感情を正確に示せる言語で交流することが可能になると、仮想世界での没入型体験がより形になるとメタバースの構築について述べています。
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