食品輸送は膨大な二酸化炭素を生んでいる


商品やサービスの原材料を調達するところから廃棄・リサイクルまでの一連のライフサイクルの中で排出される温室効果ガスの量をCO₂に換算して表示したものを「カーボンフットプリント」と呼びます。食品業界のカーボンフットプリントに関する包括的推計が初めて公開され、食材・食品の輸送によるCO₂排出量がこれまで考えられていたよりもはるかに多く、食品システム全体のCO₂排出量の5分の1近くを占めていることが明らかになりました。

Global food-miles account for nearly 20% of total food-systems emissions | Nature Food
https://doi.org/10.1038/s43016-022-00531-w


Transporting food generates whopping amounts of carbon dioxide
https://doi.org/10.1038/d41586-022-01766-0

食品のライフサイクルにおいて、CO₂は農地開拓、家畜飼育、店舗への食品の搬入などで排出されています。国連の推計では、ライフサイクルのうち食品栽培、加工、包装が排出量の3分の1を占めるとのこと。しかし、食品システムは複雑なため、輸送が直接的にどれだけ大気へのCO₂排出につながっているのかを測定することは困難でした。


オーストラリア・シドニー大学の「持続可能性」研究者であるモンユ・リー氏によると、これまでの多くの研究は、たとえば「チョコレートバーを店に運ぶことで生成されるCO₂はどれぐらいか」という部分に焦点を当てていて、そもそもチョコレートバーを作るために必要なすべての材料を輸送する飛行機や船、トラックによるCO₂の排出量が見逃され、過小評価されてきたとのこと。

リー氏は同僚とともに、74の国の地域データを収集し、食品がどこから来てどこへ行き、次にどのように移動していったかを追跡しました。その結果、2017年に食品輸送により待機中に排出されたCO₂は3ギガトン相当で、以前の推定値の7.5倍にも上ることがわかりました。

特に、世界人口でいうと約12%を占める裕福な国々によって、国際的な食糧輸送のCO₂排出量のほぼ半分が生み出されていて、世界人口の半分を占める低所得国のCO₂排出量はわずか20%でした。

また、果物や野菜を新鮮に輸送しようとすると冷蔵が必要ですが、冷蔵輸送を行った場合のCO₂排出量は、果物や野菜を育てることで生成されるCO₂の倍だとのこと。

持続可能性の研究者でイェール大学のニーナ・ドミンゴ氏は、家畜は多くの土地を必要としてCO₂排出量も多いことから、赤身の肉を食べるよりは植物ベースの食事の方が環境にいいことが多数の研究で示されていると指摘。今回の論文は「食事中の果物や野菜の量を制限すべき」ということを意味するものではなく、赤身の肉の消費量を減らしつつ、野菜や果物はできるだけ「地産地消」にすることで気候への影響軽減に役立つ可能性があると述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
地球温暖化を防ぐために避けるべき食べ物とは? - GIGAZINE

食肉や米の生産は気候変動にどれだけの影響を与えているのか? - GIGAZINE

肉を食べないことで地球環境を救えるのか、実際に計算するとこうなる - GIGAZINE

植物ベースの食事に切り替えると「おならと大便が増える」という調査結果 - GIGAZINE

地球温暖化・環境汚染を防ぐために有効な「あまり広く主張されていない10の方法」とは? - GIGAZINE

ベジタス「野菜工場」亀岡プラントで野菜の安定供給の次世代スタイルを見た - GIGAZINE

in , Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.