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Googleは「銃の広告は拒否する」と言いながら銃の宣伝でがっぽりもうけているとの報道


銃乱射事件が相次ぐアメリカでは、特に2022年5月にテキサス州の小学校で発生した銃乱射事件で多数の子どもが亡くなったことを契機に、銃規制を巡る議論が活発になっています。そんな中、以前から銃器の宣伝をしないことを表明してきたGoogleの広告システムには、大手銃器メーカーが広告を配信することが可能な抜け穴が存在していたことが分かりました。

Google Says It Bans Gun Ads. It Actually Makes Money From Them. — ProPublica
https://www.propublica.org/article/google-guns-ads-firearms-alphabet-advertising

アメリカの非営利・独立系の報道機関であるProPublicaは2022年6月14日に、「Googleはこの20年間、自社の価値観や文化に合わないとして銃の広告を受け入れないことをうたってきました。しかし、5月に立て続けに起きたニューヨーク州の食料品店やテキサス州の小学校での銃乱射事件と前後して、アメリカ最大級の銃器メーカーから何百万件もの広告が、Googleの広告システムを経由してウェブサイトやアプリに流入し、場合によっては管理者が知らないままポリシーに違反していたことが判明しました」と報じました。

ProPublicaの調べによると、テキサス州の小学校での銃乱射事件で犯人が使用した銃器のメーカーを含むアメリカ最大級の銃器販売業者15社が、Googleのシステムを使って広告を掲載しており、それらのインプレッション(広告が表示された回数)は3月9日から6月6日の間だけで1億2000万件に上っていたとのこと。Googleは、これらの広告がユーザーに表示される度に、少額の手数料を受け取っていました。

以下は、ProPublicaが発見した広告の一例です。子ども向けのゲームサイト・Baby Gamesで配信されているゲームの左右と下部に、弾薬などを入れるポーチが多数取り付けられているタクティカルベストや、銃を携行するためのベルト(スリング)などの広告が表示されています。


ProPublicaが銃器の広告を見つけたサイトのうち、コロラド州デンバーの日刊紙・The Denver Postや、IT系ニュースサイトのMacRumorsなどのいくつかのサイトの広報担当者は、銃や武器の広告を受け付けていないので広告が表示されるのはおかしいと述べました。また、ProPublicaからの通報を受けて内部調査を実施すると回答したサイトもありました。

Googleの広告ポリシーや、サイトの所有者の方針に反して銃の広告が表示されたのは、Googleの広告システムに存在する抜け穴が原因だとされています。


ProPublicaによると、Googleが広告を配信するルートは大きく分けて2つあるとのこと。1つは、Google検索やYouTubeなどに表示するGoogle自身の広告ネットワークで、もう1つはアドエクスチェンジなどを通じてGoogle以外のパートナーがGoogleのシステムを利用して広告を掲載するものです。これらのパートナーは、Google以外の広告ネットワークから調達した広告もGoogleのシステムで配信しており、これにより広告ルールが徹底されないという抜け穴が発生すると、ProPublicaは指摘しています。

さらに問題視されているのが、Googleの広告ツールを使って銃器メーカーが広告の閲覧者を追跡し、ターゲティング広告を行うことが可能になっているという点です。上記のBaby Gamesで掲載された銃の関連商品の広告も、ProPublicaの記者が銃器メーカーのサイトを訪問した後でBaby Gamesにアクセスした際に表示されたものだとのこと。


Googleはこれらの広告を直接ブロックするのではなく、ウェブサイトなどに対して「Googleのパートナーから配信された銃器などの広告を受信しないようにオプトアウトすることを求める」という対応をとっています。これについて、広告コンサルタント会社・Victory Mediumの創業者であるザック・エドワーズ氏は「Googleはわざとリターゲティングシステムに抜け穴を作り、ポリシー違反の広告が大量に流入するようにしました。これらの抜け穴が作られてから10年は経過していますが、Googleがいまだに銃器メーカーのリターゲティング広告が子ども向けのサイトなどに表示されるようにしていることついては、あきれるしかありません」と述べて非難しました。

一方、Googleの広報担当者であるマイケル・アシマン氏は、「Googleは銃器のコンテンツと一緒にGoogleの広告が掲載されることも、武器を宣伝するGoogle広告も許可していません。ただし、私たちはパブリッシャーが武器に関するサードパーティー広告を受け入れるかどうかを決めるためのツールを提供しており、サイトがこれらの広告を掲載することにした場合は、それをブロックしていません。今後も、私たちはユーザーに安全なインターネット体験を提供し、広告がすべてのポリシーに準拠していることの確認に熱心に取り組んでいきます」と述べました。

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