ロシアで政府機関や国営企業が「VPN」を使いまくっているとの調査結果、民間人から役人まで検閲逃れに必死か
2022年2月24日のウクライナ侵攻以来、ロシア政府は反対意見を封殺するため、多数のサイトをブロックしたりソーシャルメディアへのアクセスを制限したりしています。これを回避するため、ロシア国内では公的機関がVPNサービスと多額の契約を交わしているとのレポートが公開されました。
Russian VPN Spending
https://www.top10vpn.com/research/russia-vpn-spending/
ウクライナ侵攻を受けて、FacebookやYouTubeなどが相次いでロシア系メディアの収益を停止したり、配信をブロックしたりしています。こうした動きに対抗すべく、ロシア当局もTwitterやFacebookなどへのアクセスを制限しました。激化する規制を回避するため、ロシアではVPNの需要が急増しています。
VPNのロシアでの需要がウクライナ侵攻以前に比べて2692%増加 - GIGAZINE
VPNサービスレビューサイトのTop10VPNは、ロシアの財務省が公開している政府資料を分析し、2月24日以降にVPNサービスと契約を交わした官公庁や国営企業を調査しました。その結果、政府機関によるVPNサービス契約188件と企業による契約48件、のべ236件が発見されました。また、これらの契約の合計額は8億700万ルーブル(約17億円)に達していることも分かりました。
分野ごとに見ると、最もVPNサービスに多くの費用をつぎ込んでいたのが「立法」セクターで、「IT技術と通信」「ヘルスケアおよび救急サービス」「インフラ」「税関」「安全保障および防衛」などのセクターがこれに続きました。
また、地域ごとに見るとモスクワが最多の1億9600万ルーブル(約4億1700万円)で、クラスノヤルスク地方の1億4800万ルーブル(約3億1600万円)やチュメニ州の5700万ルーブル(約1億2000万円)などが続きました。なお、このランキングの10位にはロシアが2014年のクリミア危機で一方的に併合した元ウクライナのクリミアも食い込んでいます。
ロシア政府がこのようなデータを公表しているのを見ると、ロシアの組織が公然とVPNを使用しているように見えますが、ロシアではVPNの使用はグレーゾーンです。ロシア政府は3月15日に、通信当局がVPNトラフィックをブロックするための取り組みを実施していることや、今後も取り組みを継続していく考えを明かしました。しかし、ロシアの外交官であるドミトリー・ペスコフ氏は自身がVPNユーザーであることを公言しています。このことから、VPNが合法かどうかは誰が何に使っているかによって大きく左右されると、Top10VPNは指摘しました。
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