「会社との対話に労働組合を構える必要はない」というMicrosoftが掲げる4つの原理とは?
2022年6月2日、Microsoftのブラッド・スミス社長兼副会長が「従業員の組織化と労働組合との関わりに関する原則」を公式ブログに発表しました。スミス社長は、従業員の組織化の権利を認めながら、「オープンで建設的なアプローチ」を取ることで「Microsoftのリーダーと対話するために、労働組合を組織する必要はない」と述べています。
Microsoft adopts principles for employee organizing and engagement with labor organizations - Microsoft On the Issues
https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2022/06/02/employee-organizing-engagement-labor-economy/
Our employees do not need to organize to have a dialogue with Microsoft’s leaders. But we also recognize the workplace is changing. That’s why we are sharing principles to guide our approach with labor organizations. https://t.co/zGWSgFbgew
— Brad Smith (@BradSmi) June 2, 2022
スミス社長は、「労働組合との関係はMicrosoftにとって新しいものではありませんが、学ぶべきことがたくさんあるとわかっています。他の多くの産業は、私たちよりもはるかに多くの経験と知識を持っています。ここ数ヶ月、私たちは著名な労働界、ビジネス界、そして学術界のリーダーたちと話し合い、彼らから学ぶべく努力してきました。海外の労働委員会や労働組合との話し合いは、1990年代にヨーロッパの企業や法務を担当していたときに経験しました。しかし大抵の場合、過去よりも未来の方が多くの学びを得るということを理解しています」と述べています。
また、「Microsoftに適切なアプローチは、他社にとって最適なアプローチとは異なる場合があります。業界も会社もそれぞれ違います。私たちは、新技術の開発と採用において従業員が果たす重要かつ革新的な役割を深く認識し、これらの問題に取り組んでいます。これは、特に急速に変化する世界の重要な問題について、私たちのアプローチに耳を傾け、学び、一緒に進化させることに焦点を当てたグロース・マインドセットに基づいた共有の企業文化に依存しています」と語りました。
さらにスミス社長は、次の4つの原理に基づいた「オープンで建設的なアプローチ」によって、Microsoftの従業員は最善のサービスを受けられると述べています。
1:Microsoftは従業員の懸念に耳を傾けることの重要性を信じています。
Microsoftはオープンドアポリシーを採用しており、何が機能してどこを改善するべきかを把握するためのリスニングシステムと従業員リソースグループに投資しています。ただし、一部の国の一部の従業員が労働組合を結成したいと思うことも理解しています。
2:Microsoftは従業員が労働組合を結成したり、労働組合に加入することを選択したりする法的権利を持っていることを認識しています。
Microsoftは従業員が労働組合を結成したり加入したりする権利を尊重し、保護された活動に参加する合法的な従業員の努力に抵抗することで、従業員や会社の他の関係者が利益を得るとは考えていません。
3:従業員が権利を行使することを希望し、特定の提案を提示した場合、Microsoftは組合との創造的かつ協調的なアプローチに取り組みます。
ほとんどの場合、従業員の組合化の提案は、従業員が個人的な契約を通じて権利を行使するための合意されたプロセスで、Microsoftが既存の組合と連携する機会を開くことになります。Microsoftは、従業員が十分な情報に基づいて意思決定を行い、組合を結成したり加入したりを選択する法的権利を行使することを困難にするのではなく、より簡単にする協調的アプローチに取り組んでいます。
4:Microsoftはグローバルな労働経験に基づいて、組合代表を含むすべての従業員と緊密な関係と共有パートナーシップを維持することに専念します。
Microsoftは数十年にわたり、欧州各国の労働組合や世界各地の労働組合と緊密に協力してきました。Microsoftの継続的なリーダーシップと成功には、今後も変化する労使関係の環境について学び、適応し続けることが必要であると認識しています。
スミス社長は「私たちの誰一人として、未来がどのような困難をもたらすか正確に知りません。しかし、従業員の声に耳を傾け、従業員とうまくやっている企業は勝ち目がありそうです」と述べました。
IT系ニュースサイトのGeekWireは、スミス社長が労働組合についての宣言を突然行った背景に、2022年1月に約8兆円で買収したActivision Blizzardの問題があるのではないかと指摘しています。Activision Blizzardは社員へのセクシャル・ハラスメントや差別問題で企業側と労働組合が衝突し、200人規模のストライキにも発展していることが報じられました。
Activision Blizzardの従業員が200人規模の無期限ストライキを決行 - GIGAZINE
スミス社長はGeekWireの取材に対して「Activision Blizzardの件については明確に私たちが注目している問題の一部であり、他の多くのことも同様です。発表した4つの原理は、Activision BlizzardがMicrosoftの一部になった場合、確実に適用されます」と応えました。
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