2億円の価値を持つ中国・清王朝の宝物が一般家庭の台所で発見される
イギリスの一般家庭に置かれていた花瓶が、清王朝の乾隆帝の時代に作られた歴史的な陶磁器「天球瓶(てんきゅうへい)」だということが判明し、オークションで180万ドル(約2億3000万円)で落札されました。
A Magnificent Chinese Imperial blue-glazed silver and gilt 'Bat and Crane' vase to be auctioned | Dreweatts
https://www.dreweatts.com/news-videos/a-magnificent-chinese-imperial-blue-glazed-silver-and-gilt-bat-and-crane-vase-18-may-2022/
UK kitchen vase turns out to be $1.8 million Qing-dynasty treasure | Live Science
https://www.livescience.com/chinese-emperor-vase-auction
以下が、2022年5月18日のオークションで落札された清王朝の陶磁器「Magnificent Chinese Imperial blue-glazed silver and gilt 'Bat and Crane' vase(中国帝国青釉金銀彩『蝙蝠鶴文瓶』)」です。高さ約61.5cm、幅約42cmで、中国の図像学では天は球体で表されていたことから、球状の胴体を持つこの陶器は「天球瓶」と呼ばれているとのこと。
花瓶全体は霽藍(sacrificial blue)という色で塗られており、雲、ツル、扇、笛、コウモリをかたどった金箔(きんぱく)と銀箔による装飾が施されています。これらの意匠は、道教で長寿や繁栄を祈願するものとのこと。
天球瓶の底には「大清乾隆年制」つまり清王朝の乾隆帝の時代に作られたものであることを示す印文が記されています。
オークション会社・Dreweattsによると、この花瓶は1980年代にイギリスの外科医によって買い取られてからその息子に受け継がれましたが、価値が分からなかったので台所に飾られていたとのこと。それを、所有者宅を訪問した骨董(こっとう)品の専門家が見つけたのが、今回のオークションのいきさつです。
Dreweattsのアジア陶磁器専門コンサルタントのマーク・ニューステッド氏は、「この花瓶に使われている銀と金の組み合わせは技術的に非常に難しく、それゆえに特別に珍しいものです。従って、この花瓶はおそらく紫禁城か、皇帝の他の宮殿に置かれていたものでしょう」と述べました。
イギリスの一般家庭から見つかった、歴史的にも非常に貴重な逸品であるこの「天球瓶」ですが、来歴が不明なことやイギリスと中国が戦争を繰り広げた歴史から、倫理的な問題をはらんでいる可能性があるとの指摘もあります。アメリカン大学の歴史学教授であるジャスティン・ジェイコブス氏は、科学系ニュースサイトのLive Scienceに対して、「この花瓶は皇帝から役人に下賜された後、その役人の家族が20世紀に入って経済的な苦境に陥った際に売られたものである可能性があります。あるいは、1860年や1901年の軍事的略奪の産物である可能性もあり、その場合、オークションはより道徳的に疑わしいものになるでしょう」とコメントしました。
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