メモ

ネガティブな感情を発散させる「ガス抜き」は無意味どころか逆効果と専門家、ではイラっとしたらどうすればいいのか?


多くの人は、ストレスやうっぷんがたまるとSNSや友だちとのおしゃべりで愚痴をこぼして不満を発散させます。しかし、こうしたガス抜きは効果がないばかりか、かえってネガティブな感情を悪化させてしまう可能性があると、心理学の専門家が指摘しています。

Venting doesn’t work.
https://slate.com/technology/2022/03/venting-makes-you-feel-worse-psychology-research.html

不満をガス抜きするというアイデアは、精神分析学の祖とも呼ばれるジークムント・フロイトが「怒りが爆発する前に定期的に小出しにするといい」としてカタルシス仮説を提唱したことに端を発します。しかし、オンラインマガジン・Slateに記事を寄稿した心理学者兼ライターのジュリ・フラガ氏らによると、後の研究によりフロイトのカタルシス仮説が間違っていることが分かってきているとのこと。

例えば、男子大学生90人を怒らせてからその怒りを吐き出させて攻撃性が低下するかどうかを調べた実験では、気分が穏やかになるどころかむしろ攻撃性が増すことが分かりました。

また、600人の学生をグループ分けしてから片方のグループが書いたエッセイをもう片方にこき下ろしてもらい、サンドバッグを殴らせてから攻守を交代した別の実験でも、サンドバッグを殴った人は殴らなかった人より激しく相手をこき下ろしたとのことです。


これら以外にも、ハンマーでくぎを打って怒りをまぎらわせる実験や、実際に相手に電気ショックを与える実験などさまざまな方法でガス抜きをする研究が繰り返されましたが、どれも効果がありませんでした。ある研究者はカタルシス仮説について、「怒りを発散させるのは、火を消そうとガソリンをかけるようなものだ」とまで結論づけています。

怒りだけでなく、不安感などの感情でも同様です。178人の大学生に、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件から2カ月後と4カ月後の2回に分けてアンケートを行った別の調査では、不安を吐露する人はそうではない人に比べて4カ月後の不安感が約50%も強いことが分かりました。この研究だけでは、元から不安を感じやすい人が積極的に不安を口にしただけの可能性が排除できませんが、フラガ氏によるとその可能性はあまり高くないとのこと。例えば、インターネット上に暴言を投稿する人に関する別の調査でも、暴言を書き込んだ人の大半がその後ネガティブな感情を経験していることが確かめられました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「いつもイライラして怒っている人」にならない方法 - GIGAZINE

「自分に共感してくれる親しい人」が秘めるダークサイドとは? - GIGAZINE

母親とケンカした怒りを「穴掘り」にぶつけた少年が暖房やWi-Fiまで備えた地下空間を作り出す - GIGAZINE

怒りで我を忘れるとき、体の中では何が起きているのか? - GIGAZINE

ストレスの影響は「状況を自分でどれぐらいコントロールできるか」で改善可能 - GIGAZINE

in メモ,   無料メンバー, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.