怒りで我を忘れるとき、体の中では何が起きているのか?
アニメで怒ったキャラクターが頭から煙を出したり、「血が湧く」という言葉で怒りが表現されたりすることがありますが、「実際のところ人が怒った時、体内では何が起こっているか?」ということで、YouTubeの教育チャンネルLife Nogginがアニメーションで分かりやすく解説しています。
THE SCIENCE OF ANGER - YouTube
例えば道で車を運転している時……
突然背後からビュンッとすごいスピードで車が通り抜け、自分の進路をふさいできたとします。
腹が立ったあなたは前方のドライバーを口汚くののしったり、下品なジェスチャーを行うかもしれません。
この時、脳の側頭葉内部にある扁桃体が刺激され、脳がカテコールアミンという神経伝達物質を放出します。カテコールアミンは意欲や快感に関わる物質で、人が行動を起こすための感情の高まりを生み出します。
また体内におけるエピネフリンやノルエピネフリン、つまりノルアドレナリンの量も増え、血圧を上昇させます。
心拍数の上昇により顔は赤みがかり、血の流れが速くなることで「血が湧く」のを感じるわけです。
湧き上がる怒りを何とかしたい!という時は前頭前皮質を使う必要があります。
前頭前皮質は人間が行う判断や人格の発現、適切な社会的行動の調節に関わっている部分。そのため、もし前頭前皮質がなければ他人に対して攻撃的になってしまいます。
例えば、1848年、頬から槍のようなものが刺さり、脳を損傷した男性がいました。
彼は一命を取り留めましたが、前頭葉を損傷。
その後、男性の振る舞いは発作的で非礼なものになったとのこと。
彼が動物的な欲望を我慢できなくなったのは、前頭葉を損傷したことで、自分で自分の行動をコントロールできなくなったためだと考えられています。
慢性的な怒りは高血圧や心臓発作のリスクを上げてしまいます。これはエピネフリンやノルエピネフリンが血管を収縮させ、心臓のポンプを硬化させるから。
さらに、これらのホルモンはブドウ糖や脂肪酸を増加させ、アテローム性動脈硬化の進行を速めます。また動脈の中に脂肪がたまっていくと、酸素を全身に運ぶための血液が流れにくくなり、心臓発作や脳卒中を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。
このような状態にならないためには、瞑想やアンガーマネージメントのセラピー、エクササイズを行うなど、何か楽しいことをする必要があるわけです。
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