ストレスの影響は「状況を自分でどれぐらいコントロールできるか」で改善可能
By Victoria Nevland
学生や従業員は与えられたタスク(課題・テスト・仕事の指示)をこなすために時間をかけて対処します。やらなければいけないことが山積みになるとストレスを感じるものですが、ストレスを受けた人の処理能力にどのような影響が現われるかを実験した研究結果が発表されています。
PsycNET - Display Record
http://psycnet.apa.org/journals/xge/145/3/356/
You Seek Control When You’re Stressed | Psychology Today
https://www.psychologytoday.com/blog/ulterior-motives/201602/you-seek-control-when-you-re-stressed
Journal of Experimental Psychologyで発表された研究では、参加者に「水の入ったバケツを2分間持たせてビデオで撮影する」ことでストレスを与え、コンピューターゲームをプレイさせて選択する結果に影響が出るかどうかを調査する、という実験が行われました。バケツを持たせる方法により、唾液中のストレスホルモン「コルチゾール」が増加することが従来の研究からわかっています。
実験の参加者たちがプレイするのは、大学の学位コースを取得するとポイントをゲットできるというゲームで、テストを解くことで学位を取得する正しい方法が示されます。もし学位の取得に失敗すると、ゲームは振り出しに戻ってしまうため、一から学位を取得するためゲームに取り組むことになります。ただしテストの結果は常に同じであるため、前回解いたテストの内容から正しい学位の取得方法を学習でき、参加者は失敗を制御できるようになっています。
一方で、別のグループにもこのゲームをプレイしてもらうのですが、選択する学位コースはランダムでキャンセルされることがあり、参加者はキャンセルされた学位コースをもう一度取得するかどうか尋ねられることがあります。つまり参加者は失敗を制御できない状態でゲームをプレイするわけですが、研究チームは、何人の参加者が同じ学位コースを再選択するかどうかに興味を持っていたとのこと。
By Derek Bruff
実験の結果、失敗が制御できないゲームを受けた参加者は、ストレスを与えられると同じ学位コースを再選択しない傾向にあることがわかりました。失敗が制御できる場合だと、ストレスの有無にかかわらず、参加者の選択傾向に変化は見られなかったとのこと。これはストレスが持続的なタスクの決定に影響を与えることを示しているほか、ストレスを与えられて後者のゲームをプレイしたグループは、ストレスを与えられずにゲームをプレイした時よりも混乱状態に陥ることが判明しています。
研究者によると、これは仕事などにおいて人々が失敗に直面してストレスを受けた時、継続してタスクを達成するのが難しくなることを示唆しているとのこと。外部のコントロール下では作業効率に影響が出るわけですが、これは多くの職場環境においても同じことが言えます。そのため、スーパーバイザーやマネージャーは従業員の作業負荷に影響を与える可能性があるそうです。自分で状況をコントロールできる環境を整えることで、従業員の持続的タスクの効率改善に役立つかもしれません。
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