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イスラム教で仮想通貨はどのような扱いなのか?


7世紀初頭に唯一神アッラーから啓示を受けたムハンマドを最後の預言者とするイスラム教は、当時に定められた戒律の多くを今なお守り続けている宗教として知られています。そんなイスラム教が近年に登場した「仮想通貨」をどのように扱っているのか、解説記事が報じられています。

Crypto and Islam: Muslims debate whether bitcoin, dogecoin are allowed - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2022/03/08/bitcoin-crypto-islam-haram/

「長期的な値上がりを信じて短期的な値動きを無視せよという『HODL(買い持ち)』の概念は、イスラム教の『自制心が肝要』という教えに通じます」と語るのは、自分は信心深いと語るムアーウィヤ・タッカーさん。タッカーさんは利子による稼ぎを否定するコーランの教えに従って銀行への預金を避け続けてきましたが、40歳のときに出会った「ビットコイン」によって人生が一変。プログラマー兼ウェブデザイナーという本業を営む傍らで、仮想通貨について説明するイスラム教徒向けのYouTubeチャンネルを開設し、イスラム法を守りながら仮想通貨を扱う方法について助言するコンサルティング企業を設立しました。

タッカーさんのように仮想通貨の世界に足を踏み入れるイスラム教徒は年々増加の一途をたどっています。しかし、「イスラム教において仮想通貨がどのように扱われるべきなのか」という問題については定まった答えは出ていません。コーランとムハンマドの言行録・ハディースなどを基にして作られたイスラム教の法律「シャリーア」は金融法についてもカバーしていますが、クレジットカードやオプション取引などのテクノロジーが生み出した新しい波をどのように扱うのかについては、長い間議論が尽くされる上に、国や立場によって解釈が分かれることもあります。


このような新規テクノロジーがシャリーアに影響を与えた例の1つが、金本位制です。イスラム法の専門家としてタイのイスラム銀行のシャリーア関連諮問委員会を率いるアナス・アマータヤクン氏によると、シャリーアにおいては投資と通貨は金などの有形資産によって保証されている必要があったとのこと。しかし、アメリカドルの金本位制撤廃を受け、シャリーア法学者が議論を重ねた結果、「金本位制でなくとも、公的機関によって発行・保証がなされている通貨ならば認める」というようにシャリーア法が改正されたとのこと。

このように大きな動きがあった場合には、コーランを第一、ムハンマドの言行録を第二とするシャリーア法といえども変容する事例があります。しかし、仮想通貨については変化のまっただ中である上に、仮想通貨関連の投資詐欺などが大きく報じられるため、その先行きは不透明です。

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実際に仮想通貨を否定する動きもあります。インドネシアのイスラム法最高機関であるインドネシア・ウラマー評議会は2021年11月に「ビットコインやその他の仮想通貨はイスラム法において禁止されるべき」という声明を発表し、同評議会は仮想通貨が有形資産による保証がない点を指摘し、仮想通貨をイスラム教で禁じられているギャンブルと同列のものであると認定。「商品またはデジタル資産としての仮想通貨は、不確実性、賭け事、害の要素があるため、取引を違法とする」と宣言しました。

一方、仮想通貨を容認する意見も存在します。アラブ首長国連邦の行政事務局の創設議長や金融経済最高評議会の創設メンバーにしてマンチェスター・シティの会長としても知られるカルドゥーン・アル・ムバラク氏は2021年12月のインタビューで、「仮想通貨には懐疑的な人もいるが、私自身はそうではありません」と発言。同氏は総資産2430億ドル(約28兆3000億円)超という世界最大の政府系ファンドMubadala Investment CapitalのCEOを務めているため、この発言は大きいものとされています。

実際に、政府系ファンドの総資産ランキングを見ると、トップテンのうち4つをイスラム系ファンドが占めており、イスラム系ファンドが仮想通貨事業に参入するか否かは仮想通貨の今後に影響を与えうるとされています。そして、こうしたイスラム系ファンドはシャリーア法に基づく資産に大半を投資しているため、仮想通貨に関するシャリーア法の議論に大きな関心が集まっています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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