半導体不足で「Wi-Fi 6E」より先に「Wi-Fi 7」が普及する流れが強まっている
「Wi-Fi 6」として登場したWi-Fi規格の拡張版「Wi-Fi 6E」の供給が追いつかず、十分に普及する前に後継規格の「Wi-Fi 7」に取って代わられる可能性が報告されています。
Supply Constraints “A Pin in the Balloon” for Wi-Fi 6E, According to Dell’Oro Group - Dell'Oro Group
https://www.delloro.com/news/supply-constraints-a-pin-in-the-balloon-for-wi-fi-6e/
Wi-Fi 6E Adoption Hampered by Shortages, Will Speed Wi-Fi 7 Uptake | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/-wifi7-enroute-deloro
With Wi-Fi 7 near, consumers expected to bypass Wi-Fi 6E | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/02/supply-issues-wi-fi-7-hurting-wi-fi-6es-time-in-the-spotlight/
Wi-Fi 6は2.4GHz帯および5GHz帯の周波数に対応する規格として登場しました。この後継規格であるWi-Fi 6Eは加えて6GHz帯にも対応。さらに14個の80MHz幅と7個の160MHz幅も追加されています。
Wi-Fi 6Eに対応する通信機器は2021年半ばに製造が始まりましたが、世界中で問題となっている半導体不足が原因で供給が追いつかず、顧客がWi-Fi 6Eの製品を手に入れられない状況が続いています。
調査会社のDell'Oro Groupによると、通信機器製造業者はクライアントデバイスとホストデバイスの両方でWi-Fi 6Eを有効にするために必要な部品を調達せねばならず、半導体不足により大きな打撃を受けているとのこと。また、ユーザーの需要はどちらかというとWi-Fi 6に向いているということもあり、通信機器製造業者は需要が高く供給も安定するWi-Fi 6の生産に注力していると伝えられています。供給不足に加え、Wi-Fi 6Eの普及を妨げる連邦規制も原因だとされています。
そのような状況のWi-Fi 6Eを差し置いて、後継規格のWi-Fi 7が2023年にも登場するとDell'Oro Groupは予想しています。Wi-Fi 7はWi-Fi 6Eよりもさらに高いスループットを目標として開発されている規格で、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯をカバーし、最大通信レートはWi-Fi 6Eの9.6Gbpsに対して46Gbps。最大帯域幅はWi-Fi 6Eの160MHzに対して320MHz、最大変調はWi-Fi 6Eの1024QAMに対して4096QAM、最大MIMOはWi-Fi 6Eの8×8に対して16×16。この上位互換といえるWi-Fi 7がWi-Fi 6Eの普及が進まない間に登場してしまうため、Wi-Fi 6Eは実質的に「一般消費者が見ることのなかった規格」となる見通しです。
Dell'Oro Groupは「Wi-Fi 7製品、特に企業向けの製品が2023年に登場する可能性があります。こうなった場合、ユーザーはWi-Fi 6Eを買わないままになるでしょう」と述べました。
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