「ユーザーデータを共有できなければFacebookとInstagramをヨーロッパから完全撤退させる」という意向をMetaが明らかに
新たにFacebookを運営するMetaが、「Schrems II判決に基づいてアメリカ側にユーザーデータを共有できなくなった場合、FacebookとInstagramをヨーロッパから撤退せざるを得ない」という意向を示したと報じられました。
UNITED STATES SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION Washington, D.C. 20549
(PDFファイル)https://d18rn0p25nwr6d.cloudfront.net/CIK-0001326801/14039b47-2e2f-4054-9dc5-71bcc7cf01ce.pdf
iTWire - Meta threatens to pull Facebook and Instagram from Europe if it can't target ads
https://itwire.com/listed-tech/meta-threatens-to-pull-facebook-and-instagram-from-europe-if-it-can-t-target-ads.html
Meta preti da će povući Facebook i Instagram iz Evrope - Telegraf.rs
https://www.telegraf.rs/hi-tech/internet/3454773-meta-preti-da-ce-povuci-facebook-i-instagram-iz-evrope
2020年7月、EUの最高裁判所にあたるEU司法裁判所がアメリカとEUが2016年に締結した個人情報移転に関するルール「プライバシー・シールド」を無効とする判決を下しました。この判決はプライバシー・シールドが2018年に導入されたEU一般データ保護規則(GDPR)に則していないという点を理由としており、情報の移転先であるアメリカにおいてもGDPRと同等水準の個人情報法が導入されない限りは個人情報の移転を認めないということでした。
米への個人情報移転ルールを無効と判断、欧州司法裁: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61603290W0A710C2FF8000/
RIETI - 欧州司法裁判所Schrems II事件判決が越境データ流通に与える影響の考察―我が国の推進するDFFT構想への影響を中心にして―
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/21070017.html
この判決は訴えを起こした人物の氏名から「Schrems II」と呼ばれており、Facebook、Google、Microsoft、Amazonなどアメリカに本拠を置く名だたる大企業が影響を受けるとされていました。Schrems IIから1年後の2021年7月には個人情報移転に関する新ルール「標準契約条項(SCC)」が登場していますが、このSCCにおいてもMetaは「SCCを守っているがGDPRの順守を達成できていない」と司法当局の精査を受けている状況とのこと。
こうした状況について、新たにMetaが証券取引委員会に対する年次報告書の中で「FacebookとInstagramをヨーロッパから撤退せざるを得ない」と記したことが明らかになりました。Metaによると、前述のようにEUの司法当局はFacebookやInstagramの個人情報移転について「GDPRを順守していない」という意向を示しており、すでにMetaに対して「個人情報の移転を停止しろ」という予備的な草案を送付している状況とのこと。この件に関する正式通告は早ければ2022年前半に届くとMetaは記し、「新しい個人情報転送方式が受け入れられず、現行のSCCに基づく方式や他の代替手段ですら却下された場合にはFacebookやInstagramを含む当社の最も重要なプロダクトおよびサービスをEUで提供できなくなると考えられ、当社の事業、財務状況、業績に重大な悪影響がもたらされると思われます」と述べました。
なお、直近ではMetaは2022年2月に創業以来右肩上がりを示してきた月間アクティブユーザー数が初の減少に転じたと報告した結果、わずか1日で株価が20%以上暴落して時価総額が2320億ドル(約2兆6700億円)吹き飛び「1日で失われた時価総額の世界記録」を更新するなど、悲惨なニュースが続いています。
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