レビュー

ゲーミングPCにゲームパッドが一体化してどこでもゲームがじっくり遊べる「GPD WIN Max 2021」を触ってみた


ゲーミングPCといえば、どんなゲームでもストレスなく遊べるように性能面を追及しているため、携帯性についてはあまり考慮されていないものが多いのですが、「GPD WIN Max」はハンドヘルドゲーミングPCとして、ゲーミングPCとしての性能は維持しつつ携帯性もある、というコンセプトで開発されています。

このシリーズの最新機種「GPD WIN Max 2021」を触る機会があったので、たっぷりとハンドヘルドしてみました。

GPD WIN Max 2021 (1195G7) | 株式会社リンクスインターナショナル
https://www.links.co.jp/item/gpd-win-max-2021-1195g7/

GPD WIN Max 2021 (4800U) | 株式会社リンクスインターナショナル
https://www.links.co.jp/item/gpd-win-max-2021-4800u/

◆端末外観&印象
「GPD WIN Max 2021」はこのような青い化粧箱入りでやってきました。


本体のほかに電源アダプター、USB Type-Cケーブル、取扱説明書が同梱されています。


取扱説明書は表紙が中国語なのでちょっと焦りますが、中国語版の後方に英語版、日本語版も収録された3言語対応のものなので大丈夫。


本体の寸法は207mm×145mm×26mm。


重量は実測で881g。なお、スペックシートだと寸法は同じですが、重量は「790g」となっていたので、90gほど差があることに。バッテリーは取り外せない仕様なので、何がこの差につながったのかは不明です。


ざっくりと大きさがわかるように、12.1インチサイズのLet'snote CF-SV8の上に乗せてみました。


左上側の角をそろえて重ねるとこれぐらいの違いがあります。


なお、厚みは「Let'snoteの方がちょっと分厚い」というぐらいの違い。イーサネットポートを搭載しない薄型ノートPCと比べるならかなりの差があるといえます。


正面向かって右側にイヤホンジャック。


左側面はゲームパッドモードとマウスモードの切り替えスイッチがあります。


右側面にはイーサネットポートとmicroSDカードスロット。


背面左隅にはR1・R2キーがあり、続いて中央にHDMIポート、USB Type-Aポート×2、Thunderbolt 4対応USB Type-Cポート×2が並んでいます。右隅はL1・L2キー。


底面はゴム脚が4つ。やや後方(写真上方)寄りに広がっている模様は吸気用のスリットで、向こう側にうっすらとファンが見えます。


付属する電源アダプターとUSB Type-Cケーブルは合計で166g。


充電時は背面のUSB Type-Cポートに接続します。どちらのポートでも充電可能です。


アダプターはコンセントの穴と同方向に大きな縦型。プラグがやや上寄りにあるため、縦に2口並んだコンセントの場合、上にセットするとこのように下のコンセントが使えなくなります。下のコンセントにセットした場合、上のコンセントは問題なく使えます。


ディスプレイを開くとこんな感じ。ベゼルは狭くするのがトレンドですが、それに逆行するかのように、上下左右とも付箋紙を貼れるぐらいのベゼルがあります。画面サイズは8インチで、画面解像度は1280×800(16:10)、ピクセル数は189PPI。傷がつきにくいことで知られるコーニングのゴリラガラス5を採用していて、10点マルチタッチに対応しています。


キーボード部分はこんな感じで、上方にタッチパッドとゲームパッドが配置されています。タッチパッドは見た目には区切りがないものの、下寄りの左右部分がそれぞれ左クリック・右クリックできるようになっているタイプ。キーボードは英語配列で、アルファベットキーは14mm×14mmと一般的なノートPCと同サイズですが、ファンクションキーと数字キーは11mm×7mmとかなり小型なのが特徴的。


また、バックライトも搭載しています。暗所で撮影した消灯時と点灯時のキーボードを比較できるようにしてみました。


実際にゲームをするときの持ち方はこんな感じになります。


なにぶん本体が800g超もあり、持ち上げていると腕がだるくなってしまうため、本体手前を床や机にあてがって後方を持ち上げ、中指の上に乗せるようなスタイルに落ち着きました。


両隅にあるR1・L1のトリガーに指をかけて保持するので、しっかりと安定します。


背面はだいたいこんな感じ。


◆各種ベンチマーク
まずは「Geekbench 5」で性能を測定してみました。「GPD WIN Max 2021」には第11世代Intel Core i7-1195G7@2.90GHz搭載モデルとAMD Ryzen 7 4800U@1.80GHz搭載モデルがあり、今回触ったのはCore i7搭載版。GPUはIntel Iris Xe グラフィックス 96です。


CPUのシングルコアスコアは1640。暗号化スコアが4006、整数演算スコアが1437、浮動小数点演算スコアが1686でした。


CPUのマルチコアスコアは5396。暗号化スコアが9806、整数演算スコアが4942、浮動小数点演算スコアが5645でした。


GPUベンチマークは「OpenCL」APIのスコアが20081。


Vulkan」APIのスコアが18573。


PassMark PerformanceTest」でもベンチマークを行いました。まず総合スコアは「4207」で、これは全体パーセンタイル(小さい方から順に並べた位置)で55%に位置します。


具体的にはASUSのゲーミングPC・ROG Zephyrus M16 GU603にあと10ポイントに迫る数字で、15インチや16インチの大画面ゲーミングPCに劣らない性能であることを示しています。


CPUスコアは「12752」で、パーセンタイルは59%。


2Dグラフィックススコアは「519」で、パーセンタイルは46%。


3Dグラフィックススコアは「3286」で、パーセンタイルは35%。


メモリースコアは「2525」で、パーセンタイルは48%。


ディスクスコアは「15306」で、パーセンタイルは68%。


FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」は、画面サイズを1280×720にして実行。


高品質時のスコアは「2398」で、評価は「重い」。


標準品質時のスコアは「3830」で、評価は「普通」でした。


なお、負荷試験ソフトである「PassMark BurnInTest」は、スタート直後からエラーが連発。


確認すると、「Video memory corruption」ということで2Dグラフィックスのテストに失敗しているようでした。


2Dグラフィックスをテスト項目から外すと問題なくクリア。本来は負荷をかけてもちゃんと冷却されるかが知りたかったのですが、温度は取得できませんでした。


負荷をかけたときにどれぐらいファンの音が気になるか、騒音計で測定してみた様子が以下のムービーです。

「GPD WIN MAX 2021」動作時のファン音を騒音計で測定 - YouTube


おおむね、軽い負荷だと40dBA台でほとんど気になりませんが、重い負荷をかけると60dBA台後半が出て「ファン回ってるー、熱風出てるー」と感じるレベル。ゲーミングPCとして特別にうるさいという印象はないものの、本体が小さいため「こんなにファンの音がするのか」とギャップがありました。

◆FLIRによる温度測定
ということで、FLIR i3を用いて温度測定を行いました。PC起動後、特に何もしない状態だとキーボード上方、タッチパッドのあたりが32℃ぐらいになっています。


ベンチマークなどで高負荷状態になると42℃まで上昇。


側面から見ると、イーサネットポートの内側が34℃ぐらいに。


背後に熱風が吹き出しているのがわかります。


背面にある排熱スリット付近の温度は50℃超、特に熱いときには58.8℃に。


これは裏返したところ。排熱スリットあたりが50℃近いことがわかります。


ただし、手で持つことになる両隅のトリガー部分は26℃ほど。


また、本体を支持するときに指をかけるファン周辺も吸気が行われているので温度は低く、高負荷状態だからといって本体がアチアチで持てないという事態にはなりませんでした。排気の方向だけ要注意です。


ACアダプターは35℃ぐらいでした。


◆まとめ
ぱっと見た感じは「PCにゲームパッドを内蔵?究極のイロモノ?」という印象でしたが、いざ触ってみると、結局のところは慣れでしかないというのが実感です。もちろん、持ちやすい形に設計されているゲームパッドに比べれば持ち心地は劣りますが、わざわざゲームパッドを別に用意することなく、この本体さえあれば十分にゲームを堪能できるというのは大きな利点だと感じました。


また、あくまでWindows搭載のゲーミングPCなので、Steamで配信されているゲームはもちろん、その他の配信プラットフォームでダウンロード可能なゲームも自由に遊び放題であり、USB接続を経由すれば、DVDやCDからのインストールすら可能なので、持っているWindows向けゲームの資産が無駄にならないのもポイント。

本体に厚みはありますが、ハンドヘルドゲーミングPCを名乗るだけある携帯性の高さで、小さなカバンにもそっと忍ばせることが可能で、電車での移動中に「ちょっと軽くスマホゲー」ではなく「がっつりPCゲー」ができるのは、人によっては助かるはず。

なお、携帯性ということで気になるのはバッテリーの持ちですが、画面輝度最大・ボリューム10で高負荷をかけ続けた場合は95%から10%まで減るのに1時間30分ほど。同様の条件でYouTubeを見続けるぐらいの軽い負荷だと6時間40分ほど持ちました。一方、充電速度は付属のアダプターで10%から95%まで1時間20分弱でした。

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in レビュー,   ハードウェア,   動画,   ゲーム, Posted by logc_nt

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