人懐っこくて超フレンドリーな犬は犬社会での地位が低い
犬は人間に飼われることに適応して愛らしい見た目や「子犬のような目」を身につけたと考えられています。ところが、犬同士の社会の中では、人懐っこくてフレンドリーな犬ほど地位が低いことが研究で指摘されています。
Personalized dominance – a questionnaire-based analysis of the associations among personality traits and social rank of companion dogs - ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.applanim.2022.105544
Being a Super-Friendly Dog Has One Potential Drawback, Study Finds
https://www.sciencealert.com/dogs-that-are-super-friendly-rank-low-in-the-dog-hierarchy-study-finds
これはハンガリーにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学の生物学者Kata Vékony氏らのチームによる研究でわかったものです。
Vékony氏らのチームは、多頭飼いを行っている飼い主615名に対して、「飼っている犬はそれぞれどういう関係にあるか」「それぞれの犬の性格特性(ビッグファイブ)はどういうものか」という内容のアンケートを実施しました。ビッグファイブとは、「知性」「勤勉性」「外向性」「協調性」「情緒安定性」の5つの要素の組み合わせで性格を分類するもので、質問内容は「見ず知らずの人が家に来たとき最初にどの犬がほえますか?」「同じ場所で餌を食べるとき、どの犬が最初に食べ始めますか?」「どの犬が他の犬の口をなめることが多いですか?」などです。
アンケートでは1062頭についての回答が得られ、5つの要素のうち「情緒安定性」を除く4つが、犬同士の関係と有意な関連性を示し、知性・勤勉性・外向性の高い犬ほど犬社会で上位に位置し、協調性の高い犬ほど下位に位置することがわかりました。「犬社会で上位に位置する」というのは、たとえばリードを外して散歩したときに最も前を歩いたり、犬同士で遊ぶときに下位の犬より攻撃的な動きを見せたりすることに現れるとのこと。
また、先行研究と同様に、高齢の犬ほど上位になる傾向があることもわかりました。中にはわずかながら、あまり上下の関係のない犬のペアも見つかりました。
これらの結果からざっくりとまとめると、「年を取った犬の方が上位であることが多いが、その犬は飼い主とちょっと距離を取っている」「下位であることが多い若い犬は、飼い主に対してとても懐いていることが多い」となります。
今回の研究の主任研究者であるPéter Pongrácz氏は「犬の性格は犬社会の中の階層やそれぞれの犬の位置するランクと複雑な関係があるため、今回の研究だけで一口に言えるものではありません。性格と犬社会の位置づけにどういった因果関係が存在するかを見つけるためにはさらなる研究が必要です」と述べています。
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