仮想通貨・イーサリアムで使われている「Eth1/Eth2」という名称が段階的廃止へ、ユーザーへの影響は?
イーサリアム財団が、これまで仮想通貨・イーサリアムで使われていた「Eth1」「Eth2」という名称を変更することを発表しました。この変更により、Eth1は「実行レイヤー」、Eth2は「合意レイヤー」と呼ばれるようになるとのことで、名称変更の理由やユーザーへの影響が解説されています。
The great renaming: what happened to Eth2? | Ethereum Foundation Blog
https://blog.ethereum.org/2022/01/24/the-great-eth2-renaming/
イーサリアムのプラットフォームはもともとプルーフ・オブ・ワークシステム(PoW)を採用していました。仮想通貨におけるPoWは、より多くの計算処理を行った人にコインが付与される仕組みとなっています。しかし、PoWは計算能力が高いマシンを持つ人に権力が集中してしまう傾向にある点が問題として指摘されてきました。そこで、計算処理量だけでなく、「仮想通貨をより多く・長く保有していること」が報酬条件に影響する、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)が新たに考案されました。
イーサリアムのPoSへの移行ロードマップは以下の通りで、2020年1月に計画がスタートしており、2022年中にはアップグレードが行われる予定です。
イーサリアムではこれまで、アップグレード前のPoWチェーンを「Ethereum 1.0/Eth1」、アップグレード後のPoSチェーンを「Ethereum 2.0/Eth2」と呼んできました。しかし、Eth1・Eth2という名称はブランディングにおける問題があるとして、段階的に廃止していくとイーサリアム財団は発表しています。
イーサリアムが指摘する問題は、「メンタルモデル」「包括性」「詐欺の横行」「ステーキング混乱」の4つに関するもの。
◆メンタルモデル
メンタルモデルとは、人の頭の中にある「ああなったらこうなる」というイメージのこと。Eth1・Eth2という名称は、情報の受け手に「Eth1が先でEth2が後」と想像させます。しかし、実際にはEth1はEth2に先行するものではなく、またEth2となった後もEth1は存在しなくなるわけではないため、この名称は紛らわしいと判断されました。
◆包括性
イーサリアムのロードマップが明確になるにつれ、当初の「Ethereum 2.0」という表現は不正確なものなりました。実際には以下の図のようにEth1とEth2を合わせたものがイーサリアムとなるため、Eth1・Eth2という表現は包括性が欠けると判断されたわけです。
◆詐欺の横行
市場では、悪意のある攻撃者が「EthをEth2トークンと交換する必要がある」と語る詐欺手法が横行しているとのこと。Eth1・Eth2という用語を廃止することで、このような詐欺も防げるとみられます。
◆ステーキングの混乱
一部のステーキング・オペレーターはステーキングされたEthを「Eth2」と表現することで、ユーザーに混乱を引き起こしているとのこと。
これら問題に対処するために、イーサリアム財団は「Eth1・Eth2という名称を変更する」という方法を取ったわけです。具体的な変更内容は以下の通り。
・Eth1→実行レイヤー
・Eth2→合意レイヤー
・実行レイヤー+合意レイヤー=イーサリアム
この変更によりイーサリアムのロードマップが変更されることはないとのこと。一方で、Eth2リソースである「ethereum.org/en/eth2」が「Ethereumアップグレード」セクションになるなど、コンテンツ名が変更されている点には注意。これまでに作成されたEth2の説明ページは全て更新され、必要に応じて説明が記されているとのことです。
Ethereum upgrades (formerly 'Eth2') | ethereum.org
https://ethereum.org/en/upgrades/
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