Firefox 153がLinuxでVulkan Videoデコードに初期対応、NVIDIAやArm環境での活用に向けた基盤を整備

日本時間の2026年7月22日に正式リリースが予定されているMozilla Firefoxのバージョン153に、LinuxでVulkan Videoを利用して動画をハードウェアデコードするための初期対応が導入されています。従来のVideo Acceleration API(VA-API)とは異なる経路でGPUの動画デコード機能を利用できるようにするもので、特にNVIDIA製GPUやArmベースのLinux端末などでの対応拡大が期待されています。
Firefox Beta 153.0beta, See All New Features, Updates and Fixes
https://www.firefox.com/en-US/firefox/153.0beta/releasenotes/
Firefox 153 Available With Support For Vulkan Video Decoding, Experimental JPEG-XL - Phoronix
https://www.phoronix.com/news/Firefox-153-Downloads
Firefox 153のベータ版は2026年6月17日に公開されましたが、その時点で搭載機能がすべて確定していたわけではありません。Mozillaはベータ版を週3回更新しており、開発が進んだ機能を順次反映するとともに、リリースノートも更新しています。Vulkan Video対応も、こうしたベータ期間中の更新を経てFirefox 153に組み込まれました。

Vulkan Video対応に関する修正は、Firefoxの動画デコーダー「FFmpegVideoDecoder」にVulkan経由の処理を追加するものです。
これまでLinux版Firefoxは、動画のハードウェアデコードに主にVA-APIを使用してきました。しかし、NVIDIAの公式ドライバーはVA-APIを直接サポートしておらず、利用するにはNVDECをVA-API経由で扱う外部プロジェクト「nvidia-vaapi-driver」などが必要です。また、組み込み機器向けを含め、VA-APIに対応していないドライバーも存在します。
Vulkan VideoはグラフィックスAPIのVulkanを基盤として動画のエンコードやデコードを扱う仕組みで、特定のGPUメーカーやOSに依存しにくいクロスベンダーかつクロスプラットフォームのインターフェースです。Firefox 153ではFFmpegのVulkan APIを利用して動画をデコードし、その結果をLinuxのdma-bufを通じてFirefoxの描画処理へ渡す経路が追加されました。
FirefoxにVulkan Videoデコード機能が実装されていないことは2022年2月にBugzillaで報告されており、2026年3月から6月にかけて実装が行われました。
その後、2026年7月20日にFirefox 153の正式版バイナリがMozillaの配布サーバーからダウンロード可能になり、Vulkan Videoデコードの実装が正式版に含まれることが確認されました。

Firefox 153では、動画のデコード結果をGPUから画面描画処理へ受け渡す仕組みも整備されました。動画のデコードと画面描画を同じGPUが担当する場合は、デコードした映像を可能な限りコピーせずに直接渡します。一方、別々のGPUが担当する場合などは、映像データをコピーして受け渡します。
この処理を正しく行うため、デコーダーと画面描画側の両方が扱える映像形式を確認する仕組みや、処理のタイミングを合わせるためのVulkanによる同期機能が追加されました。また、動画デコードを行うRDD(Remote Data Decoder)プロセスが必要なGPUドライバーへアクセスできるように、サンドボックスの設定も変更されています。
今回の変更には、Linuxを搭載したAArch64環境で動画のハードウェアデコードが誤って無効化されていた問題への対応も含まれます。MozillaはAArch64で利用可能なGPUデコーダーを認識できるようにビルド設定を修正し、Linux向けのハードウェアデコードテストを追加しました。
ただし、Firefox 153にVulkan Videoの処理経路が追加されたからといって、すべてのLinux環境で自動的に利用できるわけではありません。Mozillaは、正常な動作が確認されたGPUとドライバーの組み合わせに限定してNightly版でVulkan Videoデコードを有効化し、テストを重ねた上で、将来的に標準で有効化する方針を示しています。

そのため、Firefox 153にはVulkan Videoの仕組みが導入されたものの、記事作成時点では幅広い環境で標準的に利用できる段階には達しておらず、今後のFFmpegの対応拡大や動作検証を見据え、本格導入に必要な基盤がFirefox 153へ先行して組み込まれた段階といえます。
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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk
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