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iPhone製造工場従業員寮の「150人以上が食中毒で入院」「1部屋に30人が詰め込まれる」など劣悪な環境が報告される


Appleは2022年1月3日に世界初の「時価総額が3兆ドル(約340兆円)を突破した企業」になりましたが、近年は劣悪な職場環境に関する指摘が相次いでいます。2021年12月に従業員による大規模な抗議行動が起こったiPhoneのインド工場について、従業員らが置かれた「150人以上が食中毒で入院」「1部屋に30人が詰め込まれる」などの劣悪な環境をロイターなどが報じています。

Women force change at Indian iPhone plant, sick from bad food, crowded dorms | Reuters
https://www.reuters.com/world/india/women-force-change-indian-iphone-plant-sick-bad-food-crowded-dorms-2021-12-30/

Apple iPhone factory workers allegedly fed rotten food, paid under $5 a day
https://nypost.com/2021/12/30/apple-iphone-factory-workers-allegedly-fed-rotten-food-paid-under-5-a-day/

2021年12月17日、電子機器の生産を請け負うFoxconnがインド南部のチェンナイ近郊で運営するiPhone製造工場で、約2000人の女性従業員らによる抗議活動が行われました。従業員寮を出た抗議者らは工場近くの主要幹線道路を封鎖したそうで、翌18日に行われた2回目の抗議活動には、付近に住む男性も参加したとのこと。

地元労働組合の指導者や弁護士によると、この抗議行動の鎮圧に当たった警察が参加者を殴ったり、女性や地元ジャーナリストを拘束したり、没収した携帯電話で女性従業員の家族に警告したりしたとのこと。これに対し地元警察は、抗議者への暴行や携帯電話の没収といった事実はなかったと否定しています。


この抗議活動は、女性従業員らが住む寮で大規模な食中毒が発生し、250人以上が病院で治療を受け、150人以上が入院した事件が発端とのこと。Appleはこの事態を受けて従業員寮の調査を行い、一部の寮やダイニングルームが必要な基準を満たしていないことが確認されたため、問題となったFoxconnの工場を保護観察処分にすると発表しました。

Apple puts supplier Foxconn's India plant on notice after protests | Reuters
https://www.reuters.com/business/foxconn-apple-say-worker-dorms-india-iphone-plant-dont-meet-required-standards-2021-12-29/


この寮の食事には時々虫がわいていたと指摘されているほか、抗議活動の後に寮を訪れた食品衛生検査官はダイニングルームでネズミを見つけ、排水の問題も特定したとのこと。寮があるティルヴァッルール地区の上級食品安全責任者を務めるジャガディッシュ・チャンドラ・ボース氏はロイターに対し、「分析されたサンプルは必要な安全基準を満たしていませんでした」と述べています。

ロイターは工場で働いていた6人の女性従業員らに話を聞き、実際に寮の環境がどのようなものだったか調査しました。報復を恐れて匿名で証言した従業員らは、1つの部屋に6~30人もの従業員が収容されていたと証言したほか、うち2人は寮に水洗トイレがなかったと報告したとのこと。

抗議活動の後に工場を辞めた21歳の女性は、「寮に住む人々は皮膚アレルギーや胸の痛み、食中毒など常に何かしらの病気を抱えていました。私たちはこれらが改善されると思ったので、大きな行動を起こしませんでした。しかし今、それ(寮の劣悪な環境)は多くの人々に影響を与えました」と述べ、食中毒騒ぎが抗議活動への最後の一押しになったと主張しています。

Foxconnの工場で働く女性従業員の賃金は1カ月で約1万500インドルピー(約1万6000円)であり、この金額は最低賃金より30%以上高いそうですが、問題の寮の住居費と食費は別途請求されるという扱い。なお、従業員の多くは18~22歳と若く、チェンナイがあるタミル・ナードゥ州の農村から出稼ぎにきているそうです。複数の活動家や専門家は、雇用主が「農村から集めた女性は組合結成やデモを行う可能性が低い」と考えていると指摘しています。


食中毒騒ぎや抗議活動を受けて、少なくとも4つのタミル・ナードゥ州の機関が調査を行っており、州政府として住居や飲料水の質を含む労働・生活環境の改善をFoxconnに要請したとのこと。Foxconnの広報担当者は一連の問題を受けて、現地の経営陣を再編成して施設の改善に取り組み、操業再開に必要な改善を行うと述べています。

今回の抗議活動が起きた工場では、約1万7000人の労働者が雇用されているそうですが、Foxconnは工場が停止する間も給与の支払いを続けるとしています。なお、食中毒が起きた寮の運営をFoxconnに委託されているVenpa Staffing Servicesは、コメントを控えたとのことです。

Appleの末端労働者の扱いは過去にも問題となっており、派遣労働者高校生学生インターンが工場で違法な労働を強いられていると報じられたほか、「収容所送りか強制労働か」の選択を迫られたウイグル人が強制労働させられているとの報告もあります。

iPhoneの部品工場で「収容所送りか強制労働か」の選択を迫られたウイグル人が働かせられているとの報告 - GIGAZINE


また、2020年12月にはiPhoneの製造を請け負うウィストロンのインド工場で、給与の未払いなどが発端となった暴動が発生しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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