サイエンス

イルカが「貝殻」を使って魚を捕らえる技術を母から子へ伝えている可能性


オーストラリア北東部のクイーンズランド州沖に生息するミナミハンドウイルカが、「貝殻を使って魚を捕らえる技術」を持っていることが初めて確認されました。さらに、「shelling(シェリング)」と呼ばれるこの狩りの技術が、イルカの母親から子どもに伝えられている可能性もあるとのことです。

Observations of Shelling Behavior and Potential Evidence of Vertical Social Learning by Bottlenose Dolphins in the Great Sandy Marine Park, Queensland Australia - Levengood - 2026 - Marine Mammal Science - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/mms.70252

Dolphins learn how to use tools to hunt for fish from their mothers
https://theconversation.com/dolphins-learn-how-to-use-tools-to-hunt-for-fish-from-their-mothers-283268

Incredible Footage Shows Dolphins Hunting With Shells Off The East Coast of Australia – And Possibly Passing The Skill on : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/dolphins-filmed-hunting-with-shells-and-possibly-passing-the-skill-to-their-offspring

道具を使うには高い知能が必要ですが、人間だけでなく自然界にも道具を使う動物が複数生息しています。たとえばカラスは穴から虫をほじくり出すために道具を使うほか、バラバラのパーツを組み立てて道具を作り出すこともできます。ほかにもオウムが欠損したくちばしを補うために道具を使うケースや、自分の体をかくために道具を使うウシなども確認されています。

イルカも道具を使う動物の一種であり、オーストラリア西部のシャーク湾に生息するミナミハンドウイルカの中には、スポンジ状の海綿動物を使ってエサを探す個体がいることが知られています。

「海綿を使ってエサを探すイルカ」は遺伝子に変化が生じていることが明らかに - GIGAZINE


新たな論文で、オーストラリアのサンシャイン・コースト大学の動物生態学者であるアレクシス・レヴェングッド氏らの研究チームは、クイーンズランド沖で貝殻を使って魚を捕まえる「シェリング」を行うミナミハンドウイルカを発見したことを報告しました。

シェリングとは、イルカが魚を大きな空っぽの貝殻の中へと追い込み、その後で貝殻を水面から持ち上げて魚を口へ流し込むという狩りの方法です。これまで、シェリングはオーストラリアの西海岸でしか確認されていなかったため、今回の発見はオーストラリアの東海岸でシェリングが確認された初の事例です。


レヴェングッド氏は科学系メディアのScienceAlertに対し、「私たちは通常のイルカ調査を行っていました。イルカを観察して行動や居場所、やっていることに健康状態を記録しようとしていました」「イルカを観察していたところ、いきなりイルカが貝殻を持ち上げたんです。空中に貝殻が見えた瞬間、何が起こっているのかすぐにわかりました。興奮のあまり、一緒に船に乗っていた学生たちに大声で叫んでいました」と述べています。

以下は、2025年7月の調査でレヴェングッド氏らが撮影したシェリングをするイルカの写真です。イルカが貝殻を水面まで運び、持ち上げていることが確認できます。


また、地元のツアー運営者に話を聞いたところ、同じ海域では2013年と2019年にもイルカのシェリングが観察され、写真に収められていたことが判明。つまり、今回のシェリングは散発的な事例ではなく、研究者による発見以前からオーストラリアの東海岸で確認されていたことを示唆しています。

以下の写真は、左が2013年にクイーンズランド沖で撮影されたもので、右が2019年に撮影されたもの。


レヴェングッド氏らはドローンを使い、上空からシェリングをするイルカを撮影することにも成功しました。ドローンによる空撮映像は以下で見ることができます。

Dolphin calf using shell as a fishing tool - YouTube


さらに2025年10月の調査では、母イルカがシェリングを行った数分後に、子イルカが同じようにシェリングをする様子が観察されました。レヴェングッド氏は、「最初に母親が貝殻を拾い​​上げ、魚を飲み込むのを目撃しました。ドローンで撮影した映像を見ると、魚が貝殻から逃げ出し、母親が魚を追いかける様子がわかります。母親が貝殻を落として数分も経たないうちに子イルカもその貝殻を拾い上げ、母親と同じことをし始めました」と述べています。

子イルカがシェリングをする様子を撮影した写真が以下。(a)は貝殻を水面で持ち上げている様子で、(b)では貝殻の開口部から魚がこぼれ出ていることが確認できます。


レヴェングッド氏によると、シェリングを行うには空の貝殻を見つけたり、魚をうまく取り出す方法を会得したりする必要があり、すべてのイルカがシェリングを行えるわけではないとのこと。「時間が経つにつれてより多くの人が水面を監視するようになり、シェリングに対する認識が高まれば、他の場所でも同様のことが起こっていることに人々が気づき始めるかもしれません」と述べました。

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in 動画,   サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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