サイエンス

タコが魚と一緒に狩りをしているのが映像に収められる、サボる魚には触手パンチで鉄拳制裁


タコは非常に高い知性を持っており、瓶を開けたり迷路を突破したりするなどの性質があることが分かっています。そんなタコがさまざまな魚と共に狩りを行っていることが報告されています。

Multidimensional social influence drives leadership and composition-dependent success in octopus–fish hunting groups | Nature Ecology & Evolution
https://www.nature.com/articles/s41559-024-02525-2


Octopuses and fish caught on camera hunting as a team
https://www.nature.com/articles/d41586-024-03127-5

Octopuses seen hunting with fish and punching fish that don't cooperate
https://www.nbcnews.com/science/science-news/octopuses-hunt-with-fish-punch-video-rcna171705

タコが魚と一緒に狩りを行う姿はこれまでにも目撃されていましたが、両者の関係性はこれまで明らかにされていませんでした。

マックス・プランク動物行動研究所のエドゥアルド・サンピアーノ氏らの研究チームは紅海でのダイビング中にのべ120時間分の映像を撮影しました。ダイビングの中でサンピアーノ氏らは、ワモンダコがさまざまな魚と協力して小魚や軟体動物を捕獲している13の例を捉えています。

Video S4 lq - YouTube


研究チームによると、ワモンダコは特定の場所にとどまって周囲の魚に指示を与えていたとのこと。サンピアーノ氏は「周囲の魚はタコに対しさまざまな選択肢を提示し、タコはその中から最適な選択肢を選んでいるようです」と報告しました。


さらにタコは狩りの最中、餌探しを手伝うことなく群れにくっついていたアカハタを自身の触手で殴った様子も確認されています。研究チームはこの行動に対し「日和見主義的な行動を示した魚に対し罰を与えたり、群れから追い出そうとしていた可能性があります」と指摘しました。

実際にタコが魚をパンチする例が以下。赤枠で囲まれた魚は岩礁に居着き、タコのそばを離れません。


見かねたタコは触手を伸ばして魚をパンチ。驚いた魚はタコのそばから離れていきました。


再び海底に居着いた魚を発見。


素早く触手を伸ばしてパンチ。


サンピアーノ氏によると、タコのパンチを受けがちな魚は、基本的に待ち伏せして餌を捕らえる種類とのこと。サンピアーノ氏は「群れがじっとしていて、すべての魚がタコから離れなければタコのパンチを受けることになります。しかし、群れの魚が移動しているならば獲物を探している状態であるため、タコがパンチを浴びせることはなくなります」と語っています。

ケンブリッジ大学の動物行動学者であるハンナ・マクレガー氏は「今回の研究は非常に興味深く、タコと魚という全く異なる種の集団が一緒にいる理由をより深く理解するのに役立つ可能性があります。一方、環境の違いで集団がどのような動きを見せるのかを探るにはさらなる研究が必要です」と述べました。

今後の展望として研究チームは「以前に日和見主義的な行動を示し、パンチした魚を再びタコは認識できるのかについて調査する予定です」と語りました。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1r_ut

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