サイエンス

ワクチンを追加接種しないとオミクロン株に有効な中和抗体が十分に得られない


新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の、日本初の市中感染例とみられる感染者が確認されました。オミクロン株はこれまでの変異株と比べて重篤な症状になる事例は少ないと考えられる一方で、ワクチンの効果が低い恐れがあり、感染の爆発的な拡大が懸念されています。諸々の研究から、各社のワクチンは追加接種(ブースター接種)なしの1回・2回の接種だけでは、オミクロン株を防ぐのに十分な中和抗体レベルが得られないことが報告されています。

mRNA-based COVID-19 vaccine boosters induce neutralizing immunity against SARS-CoV-2 Omicron variant | medRxiv
https://doi.org/10.1101/2021.12.14.21267755


「オミクロン株」は、2020年初頭から世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの変異株の1つで、2021年11月に南アフリカで発見されました。

オミクロン株は2021年秋まで世界的な流行株だったデルタ株と比較すると、症状がそれほど重篤・深刻にはなりにくいという特徴があります。研究によれば、通院リスクは20%~25%低く、一時入院のリスクは40%~45%低いとのこと。過去に新型コロナウイルスに感染したこともワクチン接種もしておらず抗体を持っていないという人でも、入院リスクはデルタ株より11%低いそうです。

Report 50 - Hospitalisation risk for Omicron cases in England | Faculty of Medicine | Imperial College London
https://www.imperial.ac.uk/mrc-global-infectious-disease-analysis/covid-19/report-50-severity-omicron/

一方で、感染力は桁外れに強く、すでにイギリスでは主流はデルタ株からオミクロン株に移行しています。ワクチンのオミクロン株に対する効果も、他の変異株に対する効果と比べて小さいことが示唆されています。


これについて、モデルナはワクチンの追加接種(ブースター接種)を行うと中和抗体レベルが83倍になり、オミクロン株に対してもこれまでの変異株と同様の効果が出ると発表しています。ファイザーも同じく、追加接種で抗体レベルが25倍になると発表しています。

モデルナワクチンのブースター接種で抗体が「83倍」に、オミクロン株の予防効果も確認される - GIGAZINE


マサチューセッツ総合大学やマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学などの研究もこれを裏付けるもので、ファイザー、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを1回・2回接種した人の血清からは、オミクロン株の予防に十分な抗体レベルが確認できなかったとのこと。

このことから、オミクロン株への対策としては、追加接種が重要になってくると考えられています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「オミクロン株ステルス搭載バージョン」が見つかる、PCR検査での変異株特定が従来より困難に - GIGAZINE

「チューインガムで新型コロナウイルスの感染を抑える方法」はオミクロン株にも有効なのか? - GIGAZINE

新型コロナウイルスのオミクロン株は「げっ歯類」の間で進化した可能性があると研究者が主張 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.