メモ

トルネードで崩壊し死者も出たAmazon倉庫では携帯電話の持ち込みが禁止されていたことが発覚


現地時間の2021年12月10日、アメリカ中部を襲ったトルネードにより、イリノイ州のエドワーズビルにあるAmazon倉庫が崩壊しました。Amazonのすべての倉庫では従業員が倉庫内に携帯電話を持ち込むことが禁止されているのですが、今回のような緊急事態発生時への対処に難があるとして、ルールに対する不満の声がAmazon社内から噴出しています。

Deadly Collapse at Amazon Warehouse Puts Spotlight on Phone Ban - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-12-12/deadly-collapse-at-amazon-warehouse-puts-spotlight-on-phone-ban

Amazon Workers Say Warehouses Lack Safety After Collapse
https://theintercept.com/2021/12/13/amazon-illinois-tornado-safety-protocols/

OSHA opens probe into deadly Amazon warehouse collapse in Illinois
https://www.cnbc.com/2021/12/13/osha-opens-probe-into-deadly-amazon-warehouse-collapse-in-illinois.html

12月10日に発生し、イリノイ州をはじめとする6つの州で発生したトルネードが、イリノイ州南西部のエドワーズビルにあるAmazonの配送センター倉庫を襲いました。トルネードによりAmazon倉庫は崩落し、100人あまりの従業員が閉じ込められ、少なくとも6人が死亡するという被害をもたらしました。

イリノイ州を襲ったトルネードでAmazon倉庫が崩壊、少なくとも6人が死亡 - GIGAZINE


Amazonは何年もの間、倉庫で働く従業員が倉庫内に携帯電話を持ち込むことを禁止しており、これを徹底するために金属探知機を用いたセキュリティチェックを行っています。新型コロナウイルスのパンデミックに伴い、Amazonは携帯電話持ち込み禁止のルールを一時的に解除していたのですが、このルールは一部の倉庫で徐々に復活している模様。

倒壊したAmazon倉庫の向かいにある建物で働いているというAmazon従業員は、「Amazonからの干渉なしに、スマートフォンを使って気象情報にアクセスし、危険な災害などの情報にアクセスしたい」「トルネードで倉庫が倒壊した後、誰もが自分の携帯電話をロッカールームに置いたまま仕事はできないと恐れているに違いありません。私が話をした従業員のほとんどが、就業時間に個人的な電話をかけないと語りました」と述べ、今回のような緊急事態に対応するために携帯電話の持ち込みを許可してほしいとAmazon側に訴えています。


また、今回のような倉庫内に閉じ込められる事態が発生した時、携帯電話を持っていれば消防署や家族などに連絡して助けを求めることもできるとも主張しています。別のAmazon倉庫で働く人物は、「Amazonが携帯電話の持ち込み禁止ルールを復活させた場合、私は退職します」と語ったそうです。

イリノイ州のAmazon倉庫では携帯電話の持ち込み禁止ルールが一時的に解除されていたようですが、倒壊に巻き込まれて死亡したLarry Virden氏は、トルネード発生時にガールフレンドに「Amazonが家に帰してくれない」とテキストメッセージを送っていたことも明らかになっています。

Horrifying details are emerging about the tornado disaster at Amazon's warehouse in Illinois, where at least 6 workers were killed on the job.

Before he died, Larry Virden reportedly texted his girlfriend: "Amazon won’t let us leave." He leaves behind four children. pic.twitter.com/3ZRLik9VIs

— More Perfect Union (@MorePerfectUS)


一方で、従業員側の提案に対応することをAmazonは拒否しています。携帯電話の持ち込み禁止について「競争上の優位性を獲得するために生産性と効率に焦点を当てたルールを作成している」とAmazonの幹部は説明しています。

なお、Amazonの倉庫建設に精通している人物によると、倉庫は嵐や雪の負荷に対応できるように地域の基準に合わせて設計されているそうです。トルネードなどが発生しやすい地域では、緊急時に備えて、鉄筋やコンクリートを他よりも多く使用して頑丈にした退避スペースが設けられているとのこと。しかし、2018年にもボルチモアのAmazon倉庫がストームで倒壊しています。


さらに、Amazon倉庫で働く従業員からは「自然災害に適切に対応するための避難訓練を受けたことはない」という証言も出ています。匿名の従業員によると避難訓練が行われたのは2015年までさかのぼるそうで、何人かの従業員は「緊急時に何をすればいいのかわからない」と語りました。

また、「トルネードが発生するので家に帰りたい」と訴える従業員に対して、Amazonが「倉庫のパフォーマンスが低下するので不可能」と断るケースがあるそうです。別の倉庫で働く従業員も自然災害発生時に有給休暇を取得しようとしても許可されなかったと訴えており、さらに別の従業員からは「トルネードが到達する前に職場を離れれば解雇する」と上司に脅されたことがあるという証言も出ています。

他にも、倒壊したAmazon倉庫ではトルネードに関する緊急警報が政府より発せられた際、このメッセージを暗号化してほとんどの従業員がアクセスできないように隠してしまったことも判明しています。The Interceptはこの件についてAmazonに警報を暗号化して隠した理由を質問していますが、記事作成時点では返答を得られていないとのこと。

なお、これらの報道を受けてアメリカ労働安全衛生局(OSHA)がAmazon倉庫の実態調査に乗り出しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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