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イーロン・マスクがSpaceXの従業員に「エンジンの生産問題で破産のリスクに直面する」と危機を訴えるメールを送信

by Daniel Oberhaus

宇宙開発企業のSpaceXでCEOを務めるイーロン・マスク氏が、再使用可能な次世代大型ロケット「スターシップ」に使われるエンジンの製造に深刻な問題が発生しているとして、「真の破産のリスク」に直面する可能性があると訴えるメールを従業員に送信したことが報じられました。

Elon Musk: SpaceX could 'face genuine risk of bankruptcy' from Starship
https://spaceexplored.com/2021/11/29/spacex-raptor-crisis/


Elon Musk to SpaceX: Starship's Raptor engine crisis risks bankruptcy
https://www.cnbc.com/2021/11/30/elon-musk-to-spacex-starships-raptor-engine-crisis-risks-bankruptcy.html

Elon Musk says Raptor engine production is a ‘disaster’ that puts SpaceX at risk of bankruptcy - The Verge
https://www.theverge.com/2021/11/30/22809720/elon-musk-spacex-raptor-engine-crisis-bankruptcy-starship

Starship engine 'crisis' poses possible bankruptcy risk for SpaceX, Elon Musk says: report | Space
https://www.space.com/starship-engine-crisis-spacex-elon-musk

SpaceXが開発する再使用可能な次世代大型ロケット「スターシップ」は、2021年5月の試験飛行で高度10kmまで飛ばした後で着陸することに成功し、最初の軌道飛行試験が2022年1月に計画されています。そんなスターシップのエンジンとして開発されているのが、液体メタン液体酸素を使用するラプターエンジンです。

ところが、マスク氏が感謝祭の翌日である11月26日に従業員宛に送信したメールによると、ラプターエンジンの生産がこれまで報告されていた以上に遅延しているとのこと。宇宙開発関連のメディアであるSpace Exploredが入手したメールには、「ラプターの生産危機は数週間前に見たよりもはるかに悪いものです」と記されています。1機のスターシップを打ち上げるには39基のラプターエンジンが必要になるため、生産遅延が続けばスターシップの打ち上げに深刻な影響が出ることが予想されます。


マスク氏のメールでは、「以前の上級管理職」の退任後にラプターエンジンに関する問題を掘り下げたところ、これまで報告されていたよりはるかに生産状況が悪いことが判明したと記されています。以前の上級管理職とは、SpaceXを去ったことが11月に報じられているWill Heltsley氏とLee Rosen氏の可能性が高いと見られています。

マスク氏は、「私は久しぶりの週末休みとしてこの週末を休むつもりでしたが、代わりに一晩中、週末を通してラプターラインにいます」「家族の重要な問題を抱えているか、物理的に(SpaceXの本社がある)ホーソーンへ戻ることができない人を除き、この災害から回復するために全員の力が必要になります」とメールで述べ、従業員にもラプターエンジン生産の問題に全力で取り組むように呼びかけました。

by Steve Jurvetson

スターシップは人々や貨物を運ぶのに使われる予定ですが、マスク氏はメールの中で、衛星インターネットサービス「Starlink」に使われる衛星を打ち上げるためにもスターシップが必要だと指摘しています。

SpaceXはこれまでに1800機以上のStarlink衛星を打ち上げてきましたが、このほとんどは衛星間通信がサポートされていない「Starlink v1」というバージョンです。衛星間通信が可能な「Starlink v2」を打ち上げるには、従来のファルコン9では大きさや質量が足りないため、大型のスターシップが必要になるとのこと。「十分な信頼性のラプターエンジンを生産できなければ、SpaceXはスターシップを打ち上げることができず、Starlink v2を打ち上げられないという結果になります」とマスク氏は述べました。

「Starlink v1自体は財政的に弱く、v2は強力です」とマスク氏は説明し、SpaceXが長期の財政的安定を確保しつつStarlinkを提供するには、スペースシップによるStarlink v2の打ち上げが重要だとしています。メールの最後でマスク氏は、「つまり、来年(2022年)は2週間に1回の割合でスターシップを打ち上げられなければ、SpaceXは真の破産のリスクに直面することになります」と述べ、最悪の場合はSpaceXが倒産する可能性もあると示唆しています。

実際にSpaceXが倒産の危機にあるかどうかを判断するのは困難ですが、マスク氏はメールに関して報じた記事へのリプライで、「SpaceXがStarlinkとスペースシップで数十億ドル(約数千億円)を失っている間に、深刻な世界的不況が資本の利用可能性/流動性を枯渇させた場合、破産することはありそうもないものの不可能ではありません」と述べました。


一方で、ラプターエンジンの生産問題については、ユーザーの質問に返信する形で「問題は修正されつつあります」と述べています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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