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SpaceXが民間人のみでの初の宇宙旅行ミッション「Inspiration4」を成功させる


イーロン・マスク氏による民間宇宙開発企業であるSpaceXが、会計処理企業・Shift4 Paymentsのジャレッド・アイザックマンCEOのために準備した民間人のみでの宇宙旅行ミッションが「Inspiration4」です。このInspiration4が無事成功に終わり、民間人のみでの宇宙旅行が初めて実現しました。

SpaceX’s Inspiration4 crew returns to Earth - The Verge
https://www.theverge.com/2021/9/18/22681339/spacex-inspiration4-crew-return-earth-splashdown

Inspiration4は、民間人であるアイザックマンCEO、地球科学者のシアン・プロクター氏、医師のヘイリー・アルセノー氏、データエンジニアのクリスセン・ブロスキー氏という4人を乗せたSpaceXの宇宙船・Crew Dragonで、宇宙旅行に挑むというミッションです。宇宙船の打ち上げには再利用可能ロケットであるFalcon 9が利用されており、特殊な訓練を受けた宇宙飛行士なしで地球の周回軌道まで上り、その後、地球に戻ってくるという宇宙旅行に挑戦しています。


4人を乗せたCrew Dragonは、Falcon 9を用いて2021年9月15日(水)20時2分に打ち上げられました。


打ち上げの瞬間の写真


Inspiration4でCrew Dragonが国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングすることはありませんが、4人は約3日間にわたり地上から360マイル(約580km)の低軌道を漂うという宇宙旅行を満喫することとなりました。

宇宙飛行中、4人はCrew Dragonの中からYouTubeでライブ配信を行っています。

Inspiration4 | In-Flight Update with the Crew - YouTube


3日間の宇宙旅行を終えたCrew Dragonは2021年9月18日(土)の18時11分頃に大気圏に再突入するプロセスを開始。大気圏再突入プロセスはCrew Dragonによる完全自律型のプロセスで実行されており、この時Crew Dragonを覆うプラズマにより、乗員4名は約7分間の通信途絶を経験しています。その後、Crew Dragonは19時2分頃にパラシュートを展開し、19時6分頃にケネディ宇宙センターから東に約30マイル(約48km)の位置に着水しました。

着水の瞬間を捉えた映像が以下の通り。


大気圏再突入時、Crew Dragonの外部は華氏3500度(摂氏約1900度)まで上昇していますが、乗組員は宇宙服と宇宙船の強化された空調により保護されています。大気圏再突入時、Crew Dragonは1段階目のパラシュート展開で時速350マイル(約560km)から時速100マイル(約160km)まで減速。1つ目のパラシュートは展開から1分もたたないうちに高度約1800フィート(約550メートル)で捨てられ、2つ目のパラシュートが展開。これにより、着水時のCrew Dragonは時速15マイル(約24km)まで減速していました。


民間人のみでの初の宇宙旅行を成功させたアイザックマンCEOは、着水後にミッションコントロールに対して「SpaceXに感謝します。我々にとって(Crew Dragonは)とても大変な乗り物でしたが、我々のミッションはまだ始まったばかりです」と語っています。

Inspiration4では微小重力下が人体にどのような影響をおよぼすかを調べるための科学的な研究をサポートするためのデータを収集しています。報道によると、アルセノー氏は頭がい内圧を測定するなどしています。

なお、今回Inspiration4に使用されたCrew Dragonは、約1年前に宇宙飛行士をISSに送り出した際に使用された「Resilience」と名づけられた機体です。

着水時の一連の様子は以下のライブ配信のアーカイブでチェックできます。

Inspiration4 | Splashdown - YouTube

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in 乗り物,   動画, Posted by logu_ii

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