サイエンス

哺乳類は「アリを食べる動物」への進化を12回も独立して遂げてきたとの研究結果


「アリやシロアリを食べる哺乳類」と聞くとアリクイを連想する人が多いはずですが、アリをよく食べるMyrmecophagy(アリ食性)の哺乳類はアリクイ以外にも存在します。そんなアリを食べる性質を持つ哺乳類は、約6600万年前の恐竜絶滅から12回にわたって独立して進化を遂げたとの研究結果が報告されています。

Post K-Pg rise in ant and termite prevalence underlies convergent dietary specialization in mammals | Evolution | Oxford Academic
https://academic.oup.com/evolut/article-abstract/79/10/2315/8155241


Mammals Evolved into Ant Eaters 12 Times Since Dinosaur Age, Study Finds | NJIT News
https://news.njit.edu/mammals-evolved-ant-eaters-12-times-dinosaur-age-study-finds

現代では200種類を超える哺乳類がアリやシロアリを食べますが、その中でもオオアリクイツチブタセンザンコウなど約20種のみがアリ食性に特化した「長くて粘着性のある舌」「特殊な爪と胃」「縮小または欠損した歯」といった特徴を進化させ、アリをほぼ唯一の食糧源として1日数万匹以上を捕食しています。

アメリカのニュージャージー工科大学やドイツのボン大学などの研究チームは、哺乳類がどのようにアリ食性への進化を遂げたのかを調べるため、4099種の哺乳類に及ぶほぼ1世紀分の自然史記録や保全報告書、分類学的説明、食事データセットなどを分析しました。

論文の筆頭著者であるボン大学のトーマス・ヴィーダ氏は、「ほぼ全ての現生哺乳類の食生活データを収集するのは大変な作業でしたが、哺乳類界における食生活と生態系の多様性を真に浮き彫りにしました。果実を食べるキツネ、オキアミを食べるアザラシ、樹液を飲む霊長類はいますが、アリやシロアリだけに依存している種はほとんどいません……必要な生態形態学的適応こそが大きな障壁となっているのです」と述べています。

ヴィーダ氏によると、アリやシロアリは1匹当たりのエネルギーが非常に低いため、フクロアリクイのように小型の哺乳類でも1日当たり2万匹以上のアリを食べなくてはならないとのこと。また、ハイエナ科のアリ食性動物であるアードウルフは1晩で最大30万匹ものシロアリを食べるそうです。


研究チームは哺乳類を「主にアリやシロアリのみを食べる動物」と、一般的な食虫動物・肉食動物・雑食動物・草食動物の5グループに分類し、これらのグループを哺乳類の系図にマッピングしました。そして、統計モデルを使って祖先の食生活を再構成することで、哺乳類がどのようにアリ食性を進化させてきたのかを調べました。

その結果、哺乳類では約6600万年前の恐竜絶滅以来、多様な系統で少なくとも12回にわたってアリ食性が独立して進化したことが判明しました。すべてのアリ食性動物は食虫動物または肉食動物の先祖を持っており、食虫動物は肉食動物の約3倍もアリ食性動物に進化しやすかったとのことです。


また、いくつかの主要なにはアリやシロアリを食べる動物がいませんが、イヌ科やクマ科を含む食肉目の全起源の約4分の1を占めていました。しかし、アリ食性哺乳類は一度進化すると、ほとんどのケースで元の食生活に戻ったり食生活が多様化したりしないこともわかりました。

論文の共著者であり、ニュージャージー工科大学生物学准教授のフィリップ・バーデン氏は、「ある意味では、アリやシロアリに特化することは種を窮地に追い込むことになります。しかし、これらの社会性昆虫が世界のバイオマスを支配している限り、これらの哺乳類は優位に立つ可能性があります」と述べています。


さらに研究チームは、アリとシロアリのコロニーの大きさを約1億4500万年前までさかのぼって調査し、いつからこれらの昆虫が年間を通じて信頼できる食糧源になったのかを調査しました。なお、アリはハチ目の昆虫ですがシロアリはゴキブリ目であり、互いによく似ているもののまったく別の系統の昆虫です。

現代では、アリとシロアリは合計1万5000種を超え、その合計バイオマスは哺乳類全体の合計を上回っています。恐竜が生息していた白亜紀には、アリとシロアリのバイオマスは昆虫全体の1%に満たない規模でしたが、約2300万年前には昆虫全体の35%にまで増加したとのこと。アリとシロアリがほぼ同時期に出現・増加した理由は不明ですが、種子植物(顕花植物)の出現や、約5500万年前の地球における温暖な気候などが関係している可能性があるそうです。

バーデン氏は、「明らかなのは、アリとシロアリの膨大なバイオマスが、植物と動物に連鎖的な進化的反応を引き起こしたということです」「この研究で特に際立っているのは、過去5000万年にわたってアリとシロアリがどれほど強力な選択圧として作用してきたのかという点です。彼らは環境を形作り、文字通り種全体の姿を変化させてきたのです」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
インターネットがAIとボットに支配されているという「インターネット死亡説」は本当なのか? - GIGAZINE

恐竜を絶滅させた隕石の衝突が「アリの農業」の誕生につながったという研究結果 - GIGAZINE

人間の社会はアリの社会とどのように違うのか? - GIGAZINE

アリのコロニーは世代を超えて過去の記憶を受け継いでいる - GIGAZINE

アリは病気になると「仲間に自分を殺させる匂い」を発する - GIGAZINE

「生きたアリを牛乳に入れる」というヨーグルトの伝統的製法を科学者が研究してわかったこととは? - GIGAZINE

アリは追い越し厳禁&一定速度での移動で交通の流れをスムーズにしていることが明らかに - GIGAZINE

アリはケガをした仲間の命を救うため脚の「切断手術」を行うことが判明 - GIGAZINE

in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article Research results show that mammals have ….