「アイスマン」の体から「パン作りに使えそうな酵母」が発見される、研究チームはアイスマン由来の酵母からパン種の作成に成功

約5300年前にアルプス山脈で死亡し、氷河の中で自然にミイラ化した「アイスマン」の体から、パン作りに使える可能性がある酵母が見つかりました。
The Iceman’s microbiome: unveiling millennia of microbial diversity and continuity | Microbiome | Springer Nature Link
https://link.springer.com/article/10.1186/s40168-026-02417-6
Ötzi and his microbiome: a 5300-year-old relationship - EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1129908
'It was very very good': Ötzi the Iceman's body is covered in ancient yeast — and scientists just used it to make a sourdough | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/it-was-very-very-good-otzi-the-icemans-body-is-covered-in-ancient-yeast-and-scientists-just-used-it-to-make-a-sourdough
アイスマンは1991年9月にイタリアとオーストリアの国境付近にあるエッツ渓谷で発見された男性のミイラです。当初は通常の遭難者の遺体だと考えられていましたが、調査の結果、約5300年前の男性であることが判明。その後、左肩から矢じりが見つかり、動脈損傷による失血死だったことも示されています。

by Helmut Simon
そんなアイスマンはイタリア・ボルツァーノにある南チロル考古学博物館でマイナス6度・湿度99%という環境で保存されています。なお、乾燥を防ぐために保存中のアイスマンには水が噴霧されているとのこと。

by South Tyrol Museum of Archaeology/Eurac Research/Marion Lafogler
イタリア・ボルツァーノに拠点を置く研究機関であるEurac Researchのミイラ研究所に所属するモハメド・S・サルハン氏らの研究チームは、アイスマンの体表から採取したスワブ(ぬぐい液)・体内から出た融解水・皮膚や組織片・保存環境・発見現場の土壌などを分析しました。
その結果、アイスマンの内部組織には古代の腸内細菌に近い微生物群が残っていた一方で、体表や融解水からは南極や北極、アルプスのような寒冷環境に適応した酵母が見つかりました。研究チームがアイスマンの体から取り出した酵母は「グラシオザイマ・ワトソニー(Glaciozyma watsonii)」「ムラキア・ロベルティー(Mrakia robertii)」「フェノリフェリア・グラシアリス(Phenoliferia glacialis)」「ゴフィオザイマ属(Goffeauzyma)」の4種類です。

by South Tyrol Museum of Archaeology/Eurac Research/Marion Lafogler
特に研究チームが注目しているのが、これらの酵母が単なる「死んだ微生物の痕跡」ではない可能性です。研究チームが2010年と2019年の皮膚サンプルを比較したところ、低温性酵母の一種であるグラシオザイマが増えており、2019年のサンプルではDNAの損傷が少なく、比較的新しい状態に近い特徴も見られました。研究チームのフランク・マイクスナー氏は「これらの酵母は何千年にもわたる旅の中でアイスマンに同行してきた」と述べています。ただし、酵母が5300年間ずっと活動を続けてきたのか、休眠状態で残っていた酵母が解凍後に再び活動し始めたのかは分かっていないとのことです。
アイスマンの体から取り出した酵母を培養したものが以下。研究チームはアイスマン由来の酵母を用いて乳酸菌と酵母などを含むパン種「サワードウ」を作ったとのこと。サルハン氏はアイスマンから取り出した酵母を使った生地について「うまくいきました。生地としてはとても良かったです」と述べ、将来的にパンやビールなどの発酵産業で利用できる可能性があると説明しています。

by Eurac Research|Andrea De Giovanni
研究チームはアイスマンの保存作業が酵母に及ぼした影響にも注目しています。アイスマンの発見後には真菌の増殖を防ぐためにフェノールを含む溶液が使われましたが、今回見つかった4種類の酵母のうち3種類はフェノールを分解できる遺伝的能力を持っていたとのこと。つまり、過去の保存処理が結果的に特定の微生物に有利な環境を作った可能性があるというわけです。
Eurac Researchのエリザベート・ヴァラッツァ氏は「現在の保存条件は非常に安定している」としつつ、アイスマンに損傷が起きないようにするには綿密な微生物モニタリングが必要だと説明しています。
なお、古代の酵母菌を用いてパンを焼く挑戦は過去にも実行されており、2019年には「古代エジプトのものと思われる酵母菌を使ったパン」を焼いて食べた事例が話題となりました。
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in サイエンス, 食, Posted by log1b_ok
You can read the machine translated English article Yeast suitable for bread making was disc….







