中国が半導体とバッテリーに使用される主要鉱物のアメリカへの輸出を禁止、軍事転用防止で半導体の規制を強めるアメリカへの対抗策として
中国が、兵器や半導体といった貴重な製品の製造に使われるガリウム、ゲルマニウム、アンチモンのアメリカへの輸出を禁止すると発表しました。軍事転用防止の目的で高性能半導体の中国への輸出を長年阻止してきたアメリカに対抗する狙いがあるとみられています。
China Announces a Ban on Rare Minerals to the U.S. - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/12/03/world/asia/china-minerals-semiconductors.html
China bans export of critical minerals to US as trade tensions escalate | Reuters
https://www.reuters.com/markets/commodities/china-bans-exports-gallium-germanium-antimony-us-2024-12-03/
China hits US with ban on critical minerals used in tech manufacturing - Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/12/china-retaliates-bans-exports-of-rare-metals-after-us-chip-ban/
ロイターなどによると、2024年12月3日、中国商務省が「ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどのアメリカへの販売は、こうした素材に軍事と民間の二重の用途があるという理由で直ちに停止される」と述べたとのこと。中国外務省の林剣報道官は記者団に対し、「中国はアメリカによる『国家安全保障の概念の過度な拡大』に断固として反対し、中国企業の利益を守るために断固たる措置を取る」と述べました。
中国は半導体などの先端技術を製造するのに必要な重要鉱物の主要生産国であり、半導体や自動車用バッテリー、ソーラーパネルといった製品に不可欠なガリウムとゲルマニウムの世界最大の生産国でもあります。
2023年、中国はガリウムとゲルマニウムの輸出を規制する法的枠組みを作り、9月15日には軍用爆薬に使われるアンチモンを追加しました。10月には、先端半導体からスマート爆弾まであらゆるものに使用されるレアアースの輸出業者に対し、欧米のサプライチェーンでレアアースがどのように使用されるかを段階的に開示するよう求め始めています。
こうした枠組みの影響でガリウムとゲルマニウムの輸出は2023年に一時停止されており、アメリカへの出荷は完全に回復しておらず、アメリカは日本のように中国から直接購入している国からの半加工品の購入に頼らざるを得なくなっているとのことです。
今回の発表は、アメリカが中国に対する広帯域幅メモリ(HBM)の輸出規制を強化した翌日に行われました。米中貿易戦争を背景にアメリカは2018年頃から中国への規制を強めており、主要なテクノロジー企業を材料輸出の禁止対象として認定するなど、圧力をかけ続けています。HBMの輸出規制は、中国が最先端技術でアメリカに追いつくのを防ごうとするバイデン政権にとって、過去3年間で3回目の重要な措置でした。
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アメリカの規制を受けて、半導体や自動車製造などのビジネス部門を代表する中国の業界団体も声明を発表しており、中国企業に対し、国内またはアメリカ以外の国からより多くの半導体を購入するよう呼びかけています。
次期大統領のドナルド・トランプ氏は両国間の貿易をさらに削減する独自の積極的な措置を約束しており、例えば中国製品に60%以上の関税をかけるなどの公約を掲げて選挙戦を戦っていました。
中国はアメリカによる技術抑制を「違法」と批判。林剣報道官は「このような行為は国際経済貿易秩序を著しく損ない、世界の生産とサプライチェーンの安定を乱し、すべての国の利益を害する」と述べました。
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in Posted by log1p_kr
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