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批判的思考力を養い誤情報への抵抗力を高める「深い読書」を身につける方法とは?


SNSや動画サイトで政治や経済に関する情報が氾濫する現代では、根拠のない誤情報を見抜いたり、問題のある言説に対して批判的な見方をしたりする能力が重要です。ワシントン・アンド・リー大学のハート教育学習センター所長であるJT・トーレス氏らが、批判的思考力を養って誤情報への抵抗力を高める「深い読書」のメリットや身につける方法について解説しました。

Deep reading can boost your critical thinking and help you resist misinformation – here’s how to build the skill
https://theconversation.com/deep-reading-can-boost-your-critical-thinking-and-help-you-resist-misinformation-heres-how-to-build-the-skill-268082


平均的なアメリカ人は1日140回以上もスマートフォンをチェックし、平均4時間30分以上も利用しているそうで、テクノロジー企業やインフルエンサーらはその注目を奪い合っています。そんな状況下では、たとえ真実ではなくても人目を引く誤情報が注目されやすくなるため、批判的思考力や読解力の重要性がこれまで以上に高まっています。

しかし、アメリカでは子どもたちの読解力が低下しており、親たちの多くは子どもたちへの読み聞かせを面倒だと感じて行なっておらず、コロンビア大学のような名門に通う大学生でさえ本を1冊読み通すのに苦労しているとのこと。

これに対しソーシャルメディアプラットフォームは、コンテンツを無限にスクロールできる上に再投稿や共有も簡単で、退屈を紛らわせたりストレスから逃れたりするために、ユーザーが受動的に関与できるように設計されています。多くの人々にとって、読書をするよりもSNSをぼんやり眺める方がよほど楽だというわけです。

認知科学者であり読解力の専門家でもあるトーマス氏らは、人々が読書を通してどのように情報を処理するかを研究する中で、「深い読書」が誤情報に対抗し、ストレス孤独感を軽減する効果的な方法になり得ると考えています。


人々がスマートフォンやソーシャルメディアを利用する理由は、「退屈しのぎ」「注目を集めたい」「人とのつながりを築きたい」「ニュースを共有したい」などさまざまです。指でタップするだけで無限の情報にアクセスできるため情報過多になり、注意力や意思決定能力に支障を来す可能性があるとトーマス氏らは指摘しています。

ソーシャルメディアのアルゴリズムはユーザーエンゲージメントを維持するため、過去にユーザーが気に入ったコンテンツと類似したものを配信します。これによりユーザーは特定の信念に合致した情報に繰り返しさらされ、信念が強化される可能性があるとのこと。


一方で深い読書は、批判的・分析的・共感的な方法で情報に取り組む意図的なプロセスを指します。流れてきた情報をそのまま受け入れるのではなく、推論を行い、関連性を見いだし、異なる視点に着目し、考えられる解釈に疑問を投げかけることも深い読書の一部です。

トーマス氏らは、「深い読書は意図的に異なるタイミングやスピードで読むことを選ぶことです。難しい部分を読むために必要に応じて速度を落とし、印象的な散文を味わい、情報を批判的に評価し、文章の意味について熟考することを意味します。それは情報を拾い集めるのではなく、文章との対話を含むのです」と述べています。

深い読書のやり方を知っていれば、ソーシャルメディアなどで絶え間なく流れてくる情報への対処法を身につけることもできます。流れてくる情報をすぐに判断するのではなく、意識して数秒ほど余分に時間をかけて考えることで、誤情報や錯覚に惑わされるのを避けることが可能です。トーマス氏らは、「つまり、意図的に少しでも速度を落とすことが有益であるということです」とまとめました。


深い読書を実践するには意志力や集中力が必要で、その過程ではいらだちや混乱といったネガティブな感情が喚起され、不快感を覚えることもあります。それにもかかわらず、トーマス氏らは労力を費やして深い読書に取り組む価値があると主張しています。

人々は退屈しのぎや孤独感を和らげるためにSNSなどを利用しますが、実際のところスマートフォンやソーシャルメディアの利用は退屈や孤独感の高まりと関連しています。また、ネガディブな情報を見続けてしまうドゥームスクロールを行う人は実存的不安や人間嫌いのレベルが高まることも報告されています。

確かに深い読書は疲れるものですが、集中力と努力を費やすことで目的意識や社会的つながりが深まるほか、個人的な目標の達成はモチベーションになります。社会的つながりを念頭に置くと、ソーシャルメディアを深い読書の促進に役立つツールとして利用することも可能です。たとえば、オススメの本をTikTokで共有するムーブメント「BookTok」は依然として大きなコミュニティとなっています。

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深い読書を身につける方法としては、詩や短編小説、エッセイといった短いものから初めて、徐々に長文へと進んでいくというやり方があります。友人や家族と協力して「長編小説やノンフィクションを読む」という目標を立てたり、読書仲間と「1日1章ずつ読んで感想を語り合う」といったやり方で楽しんだりすることもできます。

深い読書を実践することで新たな視点やアイデアが生まれ、対面での会話やSNSのフィードなどでも生かすことが可能になります。トーマス氏らは、「深い読書への意識を高めるということは、長い1日の終わりにドゥームスクロールを一切しないということではありません。しかし、より頻繁に1つのテキストにとどまり、さまざまな視点に触れる必要性を意識するようになることを意味します」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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