ウェブ版Photoshop&Illustratorの登場や進化しすぎなオブジェクト選択ツールなどAdobe製品新機能まとめ
Photoshop・Illustratorに搭載される新機能や、Adobeが開発中の新技術について発表があるほか、世界中のクリエイターによる400以上のセッションが無料で視聴できる「Adobe MAX 2021」が日本時間の2021年10月27日(水)から開催されます。イベントに先立ってWeb版Photoshop&IllustratorなどAdobe製品の新機能が公開されたので、まとめてみました。
Adobe MAX 2021 | The Creativity Conference | Registration
https://max.adobe.com/
◆Adobe Photoshopウェブ版とAdobe Illustratorウェブ版
Adobe Creative Cloudの新機能として、Adobe PhotoshopとAdobe Illustratorの一部機能がウェブで利用できるようになります。同機能はベータ版ですが、これによりPhotoshopやIllustratorといったソフトウェアを持たない人でもコンテンツの共有・閲覧・コメント・簡単な編集が可能になるとのこと。
◆Adobe Photoshop
・オブジェクト選択ツールの「ホバー選択」モード
オブジェクト選択ツールが大幅に強化され、画像内の選択したいオブジェクトの上にカーソルをホバーしてクリックするだけでそのオブジェクトを選択できるようになりました。また、「レイヤー/全オブジェクトをマスク」コマンドを選択すると、レイヤー内で検出されたすべてのオブジェクトに対して、ワンクリックで簡単にマスクを生成することができます。
・新しいニューラルフィルター
AdobeのAI「Adobe Sensei」と機械学習により、晴れの風景写真を夕焼け・曇天・雨模様といったさまざまな天気や、春夏秋冬のイメージで変化させることが可能な「風景ミキサー」が追加されました。また、「カラーの適用」「色調和」といった機能のベータ版も搭載されます。
・ニューラルフィルターの機能強化
写真の背景ぼかしをより自然にする「深度ぼかしフィルター」のほか、スーパーズームを画像全体に適用できる「スーパーズームフィルター」、画像をピカソやゴッホのようなタッチにできる「スタイルの適用フィルター」、モノクロ画像をカラー化できる「カラー化フィルター」などが公開されます。
・グラデーションの強化
自然界で見られる夕焼けや日の出の空のグラデーションに似た、より自然なブレンドを再現可能。
・Adobe Illustratorデータとの連携強化
Adobe Illustratorのドキュメントから長方形、多角形、円、線、複合パスなどのベクターシェイプをコピーし、塗り、線、ブレンドモード、不透明度などの属性が編集可能な状態でAdobe Photoshopにペーストできるようになります。
◆Adobe Illustrator
・新しいコラボレーション機能
Adobe Illustratorデスクトップ版とiPad版がどちらもコメントパネルのリンク共有に対応し、ドキュメントを他のチームメンバーや関係者と共有して素早くフィードバックを得られるようになりました。アプリ内から共有リンクをメールで送ると、Adobe Illustratorがインストールされていないレビューアーでも、ブラウザでリンクを開くだけでフィードバック可能になります。
・3Dエフェクトの強化
作品に奥行きを与えるための「3D」パネルが刷新され、パスから簡単に3Dオブジェクトを作成したり、ライティングを設定したり、回転やテクスチャの追加ができるようになったりしています。
・Substance 3Dマテリアルのサポート
Adobe IllustratorでAdobe Substanceマテリアルが使えるように。アウトラインが取られたテキストを3D化し、奥行きの調整のほか、大理石・ギンガムチェック・木目調などさまざまな素材を貼り付けることができます。
・iPad版「ベクター化」のテクノロジープレビュー
「ベクター化」は、「画像トレース」機能をさらに進化させたもので、より高い精度とコントロールでどんな画像でも鮮明なベクター画像に変換できます。鉛筆で書いたスケッチでも一瞬でベクター画像にすることが可能。
・iPad版に「リピートのブレンド」
リピート機能に追加された新機能では、2つのオブジェクトをブレンドすることが可能。「リピートのブレンド」を使うと、2つのオブジェクトのパーツや色がグラデーション化され、徐々に変化する様子が表現されます。ベクターなので拡大縮小も可能。
◆Adobe Premiere Pro&Adobe After Effect
・Adobe Senseiを搭載したリミックス機能
Adobe Premiere Pro(パブリックベータ版)の新機能として、音楽トラックを、映像にマッチするように自動編集する機能が搭載されます。音楽を映像にマッチさせるには通常、カットやクロスフェードといった作業が必要ですが、リミックス機能はボタン1つ・数秒でこれらの作業を自動的に行ってくれます。
・Adobe Senseiを搭載したシーン編集検出
Adobe After Effects(パブリックベータ版)の新機能として、レンダリング済みのクリップの編集点を自動的に識別し、カットポイントにマーカーを配置したり、クリップを個別のレイヤーに分離したりする機能が搭載。これにより、編集したビデオクリップの一部を再利用したり、特定のクリップにモーショングラフィックスやビジュアルエフェクトを適用したりすることが、より迅速かつ容易になります
◆Adobe Photoshop Lightroom
・「被写体を選択」と「空を選択」
時間がかかる「被写体を選択」と「空を選択」をワンタップで実行できるメニューを新搭載。また、画像を加工する際に、コミュニティから写真に最適なプリセットを選んで表示してくれる機能も搭載されました。これにより、イメージに近い画像を選択してから、細かい部分を調整していくという方法が可能になり、作業時間を大幅に削減可能です。加えて、他のコミュニティメンバーの写真編集のアプローチを学んだり、編集に参加したりできる「コミュニティリミックス」なる機能も搭載されました。
◆Adobe Fresco
無料のお絵かきアプリ・Frescoには、まず、作品に動きを追加してアニメーション化できる「モーション機能」が追加されました。また色調補正が可能になったほか、消失点を3点まで追加できる「遠近グリッド」や、線画の着彩をスピーディーに行う「参照レイヤー」も搭載されています
◆Adobe Creative Cloud
Adobe Creative Cloudでは、チームでの作業をスムーズにする場所として「Adobe Creative Cloudスペース」と「Adobe Creative Cloudカンバス」のプライベートベータ版も公開。Adobe Creative Cloudスペースは、プロジェクトの素材・資料の共有と管理ができるデジタル空間とされており、チームの誰もがファイル、ライブラリ、リンクにアクセスできるよう、1か所にまとめることができるもの。Adobe Creative Cloudカンバスは「チームがクリエイティブワークを表示して視覚化し、共同作業者と一緒に確認したり、アイデアを検討したりすることができる新しいステージ」と定義づけられています。
◆Adobe XD
これまでは対応していなかったビデオファイルおよびLottieFilesのアニメーションに対応。プロトタイプ上で動画が再生できるようになりました。
◆Adobe Stock
好きなオーディオの任意の個所をドラッグ&ドロップすることで類似のオーディオを探してきてくれる「類似のオーディオトラック」検索機能を搭載。またビデオ検索にはクローズアップショットやロングショットなど、被写体の適切な配置を探せる「ショットサイズ」と「ショットアングル」が新しい条件として追加されました。
◆Adobe Aero
スミソニアン学術協会、The Hydrous、Adobe Aeroのパートナーシップにより海中の没入体験が可能なARがアプリで提供されます。
◆コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)
Adobe Photoshop、Adobe Stock、Behanceをはじめとした様々な製品でCAIのコンテンツクレデンシャル機能を提供開始されます。
コンテンツ認証イニシアチブがどのようなものなのかは、以下の記事から読むことができます。
写真に編集履歴・編集日・作成者などの情報を含めてフェイクニュースを防ぐ「Content Authenticity Initiative」がPhotoshopに実装される - GIGAZINE
コンテンツにつけられたクレデンシャル情報は、以下の確認用Webサイト「Verify」で確認可能です。
Verify
https://verify.contentauthenticity.org/
また、Adobe Photoshopデスクトップアプリで制作する作品に、ユーザーのSNSプロファイルおよび仮想通貨ウォレットのアドレスをリンクできるようになったことも発表されています。加えて、Adobeが運営するクリエイタープラットフォームBehanceでもコンテンツクレデンシャルが添付されている画像をプレビューすると情報が表示されるようになりました。
・つづき
クリエイターの祭典「Adobe MAX 2021」開催、Photoshop・Illustrator・Premiere Pro・After Effectsなどの新機能はどのように進化するのか? - GIGAZINE
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