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2025年で最も信頼性が低いAWSリージョンはus-east-1

by Web Summit Rio

Amazon Web Services(AWS)の障害は特定のリージョンに集中するのか、それとも年ごとに傾向が変わるのかについて、システム管理サービスを提供するStatusGatorが、AWS公式ステータスページの公表情報を継続監視して集約したデータを使い、2025年の障害をリージョン別とサービス別の両面から整理しています。

The Least Reliable AWS Region in 2025 | StatusGator
https://statusgator.com/blog/aws-least-reliable-region-in-2025/

分析の対象期間は2025年1月1日から12月9日までで、AWSが公表した主要な障害を前提にしています。対象は商用リージョンで、GovCloudは除外されています。StatusGatorは、2025年10月20日にバージニア北部(us-east-1)リージョンで発生した大規模障害を「過去の分析を改めて見直すきっかけとなった」と述べており、リージョンの比較に加えて、影響を受けたAWSサービスの内訳もチェックしています。

結論として、StatusGatorは「2025年で最も信頼性が低いAWSリージョンはus-east-1だった」と報告しています。us-east-1(N.Virginia)は障害件数、累計停止時間、影響コンポーネント数の全てで首位となり、障害10件、累計停止33時間49分、影響コンポーネント126という数値が示されたとのこと。


また、2025年は特定リージョンに帰属しない障害が例年より多かったとStatusGatorは分析しました。特定リージョンに帰属しない障害は全部で12件発生しており、累計停止は約32時間でした。これは単一リージョンの問題というより、複数リージョンにまたがる、あるいはグローバル性の強い障害が増えた可能性を示すものとして説明されています。

さらにリージョン単位だけでなく、サービス単位でも障害を整理すると、クラウドコンピューティング系・分析系・AIや機械学習系が目立ったとされています。障害件数が多いサービスとしては、Amazon EC2が14件で、Amazon SageMakerが11件、AWS Glueが10件、Amazon EMRが10件、Amazon ECSが10件と続きます。上位5サービスの中ではAmazon EMRの累計停止が21時間39分で最長でした。また、SageMakerは機械学習系サービスとしては想定以上に障害が多く、信頼性面での新しい傾向として注目されています。


一方で、件数が多いサービスとは別に、停止が長い、あるいは影響が広いサービスもまとめられています。累計停止時間が24時間を超えたものには、Amazon OpenSearch ServiceAmazon EMR ServerlessAmazon CloudWatchが挙げられ、いずれも長時間の影響が積み上がったと説明されています。さらにAmazon ConnectやAWS STS、Amazon VPC Latticeなども累計停止時間が長かったとのこと。加えて、基盤として重要度の高いサービス群にも長時間の障害が見られ、特にAmazon DynamoDBAWS LambdaAmazon Elastic Load Balancingなどはリージョン障害とサービス障害が連動しやすかったとStatusGatorは説明しました。


us-east-1の障害件数が突出する理由について、StatusGatorは3つの仮説を検証しています。

1つ目の仮説である「us-east-1は提供サービスが多いので壊れやすい」については、複雑性の要因にはなり得るものの、それだけが根本原因とは言い切れないとのこと。


2つ目の仮説である「us-east-1は古く、構造が違う」については、AWSが根拠を示していない上、古いリージョンに含まれる東京(ap-northeast-1)やシドニー(ap-southeast-2)の停止は小さい一方で、比較的新しいリージョンであるチューリッヒ(eu-central-2)やハイデラバード(ap-south-2)でも数時間規模の障害が起きていることから、2025年の数値でも裏付けが見えないとStatusGatorは述べています。

StatusGatorは2025年のデータから、us-east-1はオレゴン(us-west-2)のおよそ2倍以上、他のリージョンの3倍以上のユーザーに監視されていることを指摘。顧客が多いほど負荷が増え、実運用上のストレスが高まり、その結果として公表される規模の障害が起きやすくなると説明し、3つ目の「us-east-1は最も利用され、負荷が高いから障害が多い」という仮説が最も有力だと結論付けています。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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