リサイクルマークの虚偽表示を禁じる法律が可決される
3本の矢印が三角形を構成するデザインのユニバーサルリサイクルシンボル(リサイクルマーク)は、基本的にリサイクル業者がリサイクル可能かどうかを見極めるために使われているマークです。そんなリサイクルマークについて、カリフォルニア州議会が2021年9月8日に「実際にリサイクルされる製品以外での表示を禁じる」という法案を可決しました。
California Aims to Ban Recycling Symbols on Things That Aren’t Recyclable - The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/09/08/climate/recycling-california.html
カリフォルニア州で可決されたこの法案は、州のリサイクル基準を満たしていない製品やパッケージにリサイクルマークの表示を禁止するもの。リサイクル可能かどうかは州のリサイクル担当部門が、設計基準や原材料をチェックすることで判断するとのこと。また、この法案はリサイクルマークだけではなく企業が「リサイクル可能」「生分解性」などの言葉を根拠なく使うことも禁止します。
このリサイクルマーク関連法案は、地方自治体、環境団体、廃棄物運搬業者、リサイクル業者の支持を得ています。法案に賛同するベン・アレン上院議員は「これは広告における基本的な真実とは何かという話です。リサイクルマークが描かれたごみ箱に、リサイクルされるだろうと思って真面目にリサイクルごみを捨てる人がたくさんいますが、実際は埋め立て地に捨てられるだけなのです」と語りました。
アメリカの環境保護庁によれば、紙や金属のような素材は広くリサイクルされているものの、プラスチックのリサイクル率は10%にも満たず、そのほとんどが焼却されたり地面に埋められたりしているとのこと。
しかし、全米70箇所の施設で年間合計600万トンものリサイクルごみを処理するアメリカ最大の廃棄物およびリサイクル会社の1つであるRepublic Servicesでは、全国で処理するごみのおよそ5分の1が、スナック菓子の袋やプラスチックフィルム、食料品のビニール袋、梱包材など、リサイクルが不可能なごみだとのこと。環境団体は現行のリサイクルマークがいい加減に表示されていると批判しています。
こうした動きを受けて、2021年7月にメーン州とオレゴン州は、製品にリサイクルマークを表示する企業に対して、リサイクルの費用負担を義務づける法案を可決しました。また、ニューヨーク州では、リサイクルマークについて誤解を招くような表記を禁止する法案が検討されています。
一方で、法案が通るとリサイクル技術に投資しなくなる企業も出てくるのではないかという指摘もあがっています。法案に賛同する包装業界団体・アメリペンのエグゼクティブディレクターであるダン・フェルトン氏は「法律でリサイクルマークの運用を厳格にすることで、今より多くの包装材が埋め立て地に送られるという意図せぬ結果に及ぶ可能性があります」と述べました。
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