法定のデジタル通貨「e-Naira」をナイジェリア政府が発表
ナイジェリア中央銀行(CBN)がフィンテック企業のBittと提携し、ナイジェリア政府のデジタル通貨「e-Naira」を立ち上げることを2021年8月30日に発表しました。
CBN drafts guidelines to Nigerian banks on e-Naira – Nairametrics
https://nairametrics.com/2021/08/29/cbn-drafts-guidelines-to-nigerian-banks-on-e-naira/
Nigeria to partner with Bitt Inc to launch 'eNaira' digital currency | Reuters
https://www.reuters.com/technology/nigeria-partner-with-bitt-inc-launch-enaira-digital-currency-2021-08-30/
CBN picks Bitt Inc as technical partner for e-Naira roll-out
https://www.sunnewsonline.com/cbn-picks-bitt-inc-as-technical-partner-for-e-naira-roll-out/
CBN engages British fintech to develop digital currency - Punch Newspapers
https://punchng.com/cbn-engages-british-fintech-to-develop-digital-currency/
CBNはナイジェリア国内の銀行に対しe-Nairaプロジェクトのプレゼンテーションを行っており、その内容から「e-Nairaがナイジェリア国内の法定通貨となること」「無利子の中央銀行発行デジタル通貨(CDBC)として扱われること」「顧客あたり5万ナイラ(約1万3000円)の送金制限」「取引額ベースの取引制限」といった設計が明らかになっています。
プレゼンテーション資料では「金融当局(CBN)」「金融機関」「電子政府」「民間企業」「消費者」の5つの立場からe-Nairaの仕組みが説明されています。
金融当局:CBNは通貨の発行、配布、償還、破棄を含む最初期の要素を扱う。データをクラウドサーバーに保存し、通貨の取引を監視・分析する。
金融機関:ライセンスを受けた金融機関はステーブルコインの発行や通貨の要求、支店におけるデジタル通貨の管理、本人確認手続き、マネーロンダリング対策などを行う。
電子政府:電子政府は市民や企業からのデジタル通貨の送金について効率的に処理する。
民間企業:低コストな支払いソフトウェアおよびビジネス管理ソフトウェアなど、デジタル通貨管理に関連するソフトウェアを提供する。
消費者:「ユーザー中心的」な設計になっているデジタル通貨のメリットを享受できる。
CBNのゴッドウィン・エメフィエレ総裁は、「CDBCが導入されることで国境を越えた取引が増加し、貧困や難民などにかかわらず誰もが金融サービスへのアクセスできるようになり、送金が簡単かつ安価となり、社会的介入も容易になる」と、そのメリットについて述べました。またデジタル通貨によって税金の徴収や支払いシステムの効率性も上がり、金融政策がより有効になるという考えも明かしています。
提携が発表されたBittはカリブ海のバルバドスを拠点とする企業で、世界で初めて発行されたCDBCである「DCash」の開発を行った企業として知られています。CBNはBittを選択した理由を「技術的競争力」「効率性」「プラットフォームの安全性」「相互運用性」「実装」を鑑みての結果だとしています。e-Nairaは2021年末までに発表される予定です。
ナイジェリアがアフリカ諸国の中でいち早くCDBCの運用に乗り出した一方、同地域にはデジタル通貨に対し否定的な見方も根強く残っています。例えば南アフリカ準備銀行のレセチャ・カニアゴ総裁は、「暗号資産は通貨に必要な3つの条件を満たしていないため、通貨とは認められない」という見解を述べました。
South Africa Bank: 'Crypto Is Not Currency' | PYMNTS.com
https://www.pymnts.com/cryptocurrency/2021/crypto-is-not-currency-says-south-africa-central-bank-governor/
カニアゴ総裁による3つの条件は以下の通り。
1:一般に認められている流通貨幣であること
2:価値を蓄える方法として受け入れられていること
3:経済における価値尺度であること
カニアゴ総裁によると、暗号資産は貨幣として交換が可能であるものの「参加者だけに受け入れられている」状態であり、1の条件を満たさないとのことです。
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