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ホログラムはどういう仕組みで立体的に記録されて見えているのか?


平面的な写真と違って見る角度によって物体が動いているかのように立体的に見えるホログラムの仕組みや作り方について、数学のアイデアや理論を視覚化して説明するYouTubeチャンネルの3Blue1Brownが解説しています。

How are holograms possible? - YouTube


以下の画像では、ガラス板の向こう側にクラインのつぼの形をしたガラス瓶や、幾何学的な形状の箱など、さまざまなオブジェクトが並んでいます。


しかし、実際には以下のように板の向こう側には何も存在しておらず、これはフィルムに記録されたホログラムです。


「ホログラム」と聞くと、空間上に投影された立体映像を思い浮かべる人もいるかもしれません。


しかし、本来のホログラムは、2Dのフィルムに記録された特殊な画像で、「見る角度を変えると立体的に見える」というものです。この技術はホログラフィーと呼ばれるもので、1947年にハンガリーの物理学者であるガーボル・デーネシュが電子顕微鏡を開発するプロセスの中で発明しました。ホログラフィーが実用化されたのはそこから数十年後にレーザーが発明されてからで、実用化に伴ってデーネシュは1971年にノーベル物理学賞を受賞しています。


以下は、フィルムの背後から光を照射することで観察できる「透過型ホログラム」です。ムービーでは、この透過型ホログラムの仕組みについて掘り下げています。そのほか、透過型ホログラムから改良が進んで、表側に白色光を当てれば観察できる日本の紙幣にも使われている「レインボーホログラム」や、より高度な「白色光反射型ホログラム」というものがあります。


まず、ホログラムを作るための記録プロセスとして、写真との違いを3Blue1Brownは示しています。以下は最も単純なピンホールカメラの例ですが、カメラは固定された視野角からオブジェクトのごく1点のみを記録するような形のため、それ以外の視野角の情報は失われます。


ホログラムの場合は、写真のように1点だけの視野角ではなく、見る角度を変えると別の視野角から見えるような、立体的な見た目にする必要があります。そのために必要な2つのこととして、3Blue1Brownはピンホールカメラにおける小さな穴のようなレンズを取り除いて視野を広げること、そして「位相(Phase)」を挙げています。位相とは、光を純粋な波として捉えた際に、「波がどの程度まで進んでいるか」を示すものです。写真では位相の情報は失われますが、ホログラムでは光の振幅と位相が記録されます。


位相を記録する方法として、「参照光」が用いられます。参照光が元の光と同位相なら記録される光は倍の振幅になりますが、逆位相なら干渉し合って打ち消されます。干渉光をずらしながら複数照射することで、位相を再現した物体光を作ることができます。


参照光で位相を記録するためには、全ての光が同じ周波数を持っている必要があります。そのため、周波数がブレる白色光ではなく、レーザーによって物体光を記録する必要があります。また、物体が数ナノメートル(100万分の1mm)ズレると光のパターンが変わってしまうため、記録の際は物体がわずかでも動かないようにする必要があります。ムービーでは、「デモを記録するために、数分間身動きせずじっとしている必要がありました」と語られています。


位相を記録した参照光が立体的なビジュアルを見せるというホログラムの謎を解明する鍵として、3Blue1Brownは以下のようにフィルムを小さく切り取っています。写真の場合、小さく切り取った部分では切り取った部分に映っていたものしか見えません。しかしホログラムのフィルムでは、小さく切り取ったフィルムを上下左右から見ることで、広い範囲のオブジェクトも見ることができます。


ホログラムの仕組みをより分かりやすくするため、3Blue1Brownは最も単純な「1つの点」をホログラムとして記録する場合を例に挙げています。物体に当たって反射する物体光と参照光が同位相の場合、フィルムには強い光が記録されます。一方で、逆位相の場合は打ち消し合って真っ黒になります。位相によってフィルムに記録される光の強さが変わるというわけです。


中心から遠い点では、物体までの距離が長くなるため、物体光の位相は中心の基準光と合致したりズレたりします。これにより、物体をさまざまな角度で見た際に影ができる場合や明るく見える場合などが分かれ、立体的に捉えられるという仕組みとなっています。この干渉パターンをフィルム上の同心円状で記録したものは、「フレネルゾーンプレート」と呼ばれます。


以下は、フレネルゾーンプレートに現れる光の強さの差がどれくらいの幅になるかを「d」、物体からある1点までの角度を「θ(シータ)」とした時、角度の正弦である「sinθ」を角度にかけると光の波長「λ(ラムダ)」に等しくなるという計算式です。これは、光が格子状の構造を通過・反射する際に波長ごとに異なる角度で回折する現象を示した「dsinθ=mλ」という「回折方程式」にほぼ一致しています。フレネルゾーンプレートに記録される光、すなわち「物体をさまざまな角度から見た時の見え方」が光学的に正確に記録されるため、写真と違って立体的に見えるホログラムとして記録できるというわけです。さらなる数学的に正式なホログラムの説明を知りたい場合は、ムービー末尾の「正式な説明」セクションで見ることができます。


3Blue1Brownのムービーにおける説明は透過型ホログラムのもので、レインボーホログラムや白色光反射型ホログラムにはまた異なる理論が含まれています。また、ただ立体的に見えるだけではなく、角度によって時間の経過によるシーンの変化を見えるようにする技術などもあります。3Blue1Brownは「ガーボル・デーネシュがノーベル賞を受賞したという事実が、ホログラムが単なる美しいビジュアルという芸術としての用途にとどまらないことを示唆しているはずです」とホログラム技術の価値について語りました。

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in 動画,   サイエンス, Posted by log1e_dh

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