大阪大学が3Dプリンターで複雑な和牛肉の構造を再現する「3Dプリント金太郎飴技術」を発表
大阪大学大学院工学研究科の松崎典弥教授が、和牛肉の複雑な組織構造を3Dプリンターで再現する「3Dプリント金太郎飴技術」を発表しました。発表では、今後の改善によって和牛の「サシ」まで再現できるようになる見通しです。
Engineered whole cut meat-like tissue by the assembly of cell fibers using tendon-gel integrated bioprinting | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-021-25236-9
3Dプリントで和牛の“サシ”まで再現可能に!~金太郎飴技術のテーラーメイド生産でタンパク質危機を救う~ - 20210824-2.pdf
(PDFファイル)https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210824-2/pdf/20210824-2.pdf
3Dプリントで和牛の“サシ”まで再現可能に!~金太郎飴技術のテーラーメイド生産でタンパク質危機を救う~ – 大阪大学工学部応用自然科学科 応用化学科目 大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻
https://www.applchem.eng.osaka-u.ac.jp/blog/20210825/
新たに発表された3Dプリント金太郎飴技術は、筋・脂肪・血管という異なる線維組織をそれぞれ作成してから金太郎飴のように束ねるという点が特徴。既存の培養肉技術の多くは筋繊維のみで構成されるミンチ肉に近い構造ですが、3Dプリント金太郎飴技術は本物の肉に近い複雑な組織構造をオーダーメイドで作成できます。
実際に3Dプリント金太郎飴技術が稼働している様子が以下。
First Ever 3D Printed Wagyu Beef Created In Lab - YouTube
研究室で行われた実証試験では、筋繊維42本・脂肪組織28本・毛細血管2本の計72本をプリントしてから手で束ね合わせることで直径5mm×全長15mmの肉塊を作ることに成功しているとのこと。研究チームは線維組織を束ねることで、本物の肉に近い食感が再現できるようになると語っています。
研究チームは今回の研究の背景として、世界人口が2050年に97億人に達するという国連予想を挙げ、現行の培養肉には筋繊維のみで形成される「ミンチ肉」に似た構造であることから食感・味わいの問題があるため、本物の肉に近い食感を再現できる今回の研究はタンパク質問題の解決策の1つになり得ると主張しています。
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