タリバンがアメリカ軍の残した特殊な生体認証デバイス「HIIDE」を奪取
by The U.S. Army
虹彩認証などで個人を認識し、大規模なデータベースで経歴などを照合可能な生体認証デバイス「HIIDE」が、アフガニスタンを制圧したイスラム主義組織・タリバンの手に渡ったことが報じられました。
The Taliban Have Seized U.S. Military Biometrics Devices
https://theintercept.com/2021/08/17/afghanistan-taliban-military-biometrics/
「HIIDE」は、2010年に初めて登場した携帯式生体認証デバイスです。虹彩・指紋・顔で個人を認識し、内蔵データベース、または外部のデータベースにワイヤレスでアクセスして、個人情報を照合可能な代物です。
HIIDEについては、2010年当時アメリカ国防総省が1000万ドル(約11億円)相当の費用をかけてHIIDEを配備したことが報じられたほか、その後アメリカ軍がウサーマ・ビン・ラーディンを特定するために使用したり、テロリストを特定することを目的とするアフガニスタン国民の生体情報収集に使われたりしたことで知られています。
しかし、アメリカ軍の関係者によると、軍が現地に残したHIIDEがタリバンによって奪取されてしまったとのこと。アメリカはテロリストや犯罪者だけでなく、外交に携わるアフガニスタン人を始めとする一般人のデータの収集も行ったとみられていることから、タリバンが反乱分子の個人情報を特定する可能性が指摘されています。
by The U.S. Army
軍関係者によると、タリバンがHIIDEのデータを処理するためには「追加のツール」を必要とする可能性があるとのことですが、関係者は「タリバンと蜜月状態にあるパキスタンの軍統合情報局(ISI)がツールを所持しており、両者が協力する可能性がある」と懸念を示しています。
元陸軍諜報員であり、人権団体の最高技術責任者であるウェルトン・チャン氏は「HIIDEが悪用された場合のプライバシーや対処法の問題については、誰も考えたことがないと思います。今後、アメリカ軍と外交機関は、アフガニスタンのような不安定な状況下でHIIDEを再び展開するかどうかについて、慎重に検討する必要があります」と述べました。
・関連記事
タリバンのアフガニスタン掌握を理解する上で重要な5つのポイント - GIGAZINE
SNSで情報発信を試みるタリバンに対し各サービスはどのように対処しているのか? - GIGAZINE
アフガニスタンから脱出するためカブールの空港に押し寄せた群衆を撮影した衛星写真が公開される - GIGAZINE
ヒトの眼球を生体認識に使う「虹彩スキャン」のデータ43万人分がFBIによって収集されていることが判明 - GIGAZINE
世界には宗教的少数派に対する虐殺や迫害が渦巻いている - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in ハードウェア, セキュリティ, Posted by log1p_kr
You can read the machine translated English article Taliban seizes special biometric device ….