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アフガニスタンから脱出するためカブールの空港に押し寄せた群衆を撮影した衛星写真が公開される


2021年8月、長年にわたりアフガニスタンの治安を担ってきたアメリカ軍が撤退を進める中、アフガニスタン政府軍と戦い続けてきたイスラム主義勢力のタリバンが攻勢を強めてついに首都カブールを掌握。アシュラフ・ガニ大統領が出国し、日本時間の8月16日にはタリバンが勝利を宣言しました。タリバンの支配を恐れる市民はアフガニスタンからの脱出を望んでカブール国際空港(ハーミド・カルザイ国際空港)に押し寄せており、アメリカ・コロラド州に本拠を置く宇宙技術企業のMaxar Technologiesが公開した衛星写真からも空港に殺到した群衆が確認できます。

New high-res #satellite imagery (10:36 am local time, August 16) of the chaotic scene underway at #Kabul’s Hamid Karzai International Airport in #Afghanistan as thousands of people converged on the tarmac & airport runways as countries attempt to evacuate personnel from the city. pic.twitter.com/L6lhlVms54

— Maxar Technologies (@Maxar)


Crowds surge on Afghanistan airport in satellite photos | Space
https://www.space.com/afghanistan-kabul-airport-crowds-photos

Maxar Technologiesがアフガニスタン時間の10時36分に撮影した、カブール国際空港の衛星写真がこれ。白い航空機の周りに点となった多くの人々が集まっているのが確認できます。通常であれば航空機の駐機場にこれほど多くの人々が集まることはあり得ず、いかに現場が混乱しているかが感じられます。


長い滑走路に沿って待機する人々の姿も。


また、カブール市内は脱出しようとする人々によって交通が混乱している模様。Maxar Technologiesは海外メディアのSpace.comに対し、「空港の主要滑走路の周囲に治安部隊の姿が見られ、群衆が他の航空機へ移動したり、飛行を妨げようとするのを防ごうとしています。いくつかの空港の境界ゲートや付近の交差点でも、数百人もの人々がいます」と述べています。


Twitterにはカブール国際空港の混乱を伝える動画が多数投稿されています。たとえば、航空機に乗り込むためのボーディング・ブリッジに入ろうと押し寄せる人々や……

This is, perhaps, one of the saddest images I've seen from #Afghanistan. A people who are desperate and abandoned. No aid agencies, no UN, no government. Nothing. pic.twitter.com/LCeDEOR3lR

— Nicola Careem (@NicolaCareem)


航空機に飛び乗ろうとするかのように並走する人々。

Video: People run on tarmac of Kabul international airport as a US military aircraft attempts to take off. pic.twitter.com/9qA36HS0WQ

— TOLOnews (@TOLOnews)


実際に機体の側面にしがみついている人もいるのが確認できます。


また、航空機にしがみついた人が撮影した動画も公開されています。

This is not a Hollywood movie stunt. This is an afghan man with several others clinging to an aeroplane to survive the war and to cross the border at any cost. I don’t know if he survived. Another heart wrenching video from #Afghanistan while the world watches silently. pic.twitter.com/Z0IpEdU9cV

— Sudhir Chaudhary (@sudhirchaudhary)


航空機の側面にしがみついたまま現地までたどり着く望みは薄く、飛行中の航空機から落下する人の姿を捉えた動画も公開されています。以下の埋め込みムービーにその様子が写っていて、ショッキングな映像なので閲覧には気をつけてください。

Exclusive - The video shows a flight from #Kabul airport where two people are thrown from a plane into the the people's homes.#Afghanistan #Taliban pic.twitter.com/GlSgjNApJj

— Aśvaka - آسواکا News Agency (@AsvakaNews)


各国の軍や政府も、アフガニスタンから脱出する際にできるだけ多くの民間人を助けようとしています。アメリカ空軍が所有する「Reach 871」というコールサインの軍用長距離輸送機・C-17は、8月15日にカブールからカタールのアル・ウデイド空軍基地へ向かう際、実に640人ものアフガニスタン人を避難させたと報じられています。

Inside Reach 871, A US C-17 Packed With 640 Afghans Trying to Escape the Taliban - Defense One
https://www.defenseone.com/policy/2021/08/inside-reach-871-us-c-17-packed-640-people-trying-escape-taliban/184563/

ボーイングによると、公式にはC-17に搭乗可能な人数は150人未満だそうですが、人命救助時には貨物室に人々を乗せて飛ぶこともあるとのこと。以下はReach 871の貨物室の様子をアメリカ空軍のクリス・ハーバート大尉が撮影したものです。


軍事関連メディアのDefense Oneに証言した軍の当局者は、難民を航空機から追い出す代わりにカタールへ連れて行くことを決定し、「約640人ものアフガニスタンの民間人を、カタールで降ろしました」と述べたそうです。

また、アメリカ国防総省のジョン・カービー報道官は、タリバンから逃れるアメリカ人とアフガニスタン人のための空輸能力を強化し、1日5000~9000人を避難させることができると述べています。

US Ramps Up Emergency Kabul Airlift to Get 5,000 to 9,000 Out Per Day - Defense One
https://www.defenseone.com/policy/2021/08/us-ramps-emergency-kabul-airlift-get-5000-9000-out-day/184588/

カービー氏はDefense Oneの電話インタビューで、「カブール国際空港にいる私たちの司令官は、空港外にいるタリバンの司令官とコミュニケーションを取っています」と話し、避難活動の間に争いが広がることを回避しているとのこと。また、640人ものアフガニスタン人を脱出させたC-17について、「これは可能な限り人道的であろうとする航空機の乗組員の姿です。この写真は、搭乗員の人間性について千の言葉を語っています」と述べました。


なお、タリバンは8月17日にカブールで記者会見を開き、諸外国との平和的な関係構築を望んでいることや、アメリカ軍の協力者を含む国民全員を赦免して報復をしないこと、イスラム教の枠組みの中ではあるものの女性の権利を尊重することなどを表明。20年前にアフガニスタン紛争が起きた際のタリバンと現在のタリバンは「大きく異なる」と述べています。

タリバン、柔軟姿勢アピール 首都制圧後初会見―アフガン:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081800200


タリバン、女性の権利尊重を表明 20年前とは「大きく異なる」 | ロイター
https://jp.reuters.com/article/afghanistan-conflict-idJPKBN2FI1QU

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