動画

エプスタイン・スキャンダルを理解するための重要な概念「Blat(ブラット)」とは?


未成年者への性的搾取などで大きな事件となったジェフリー・エプスタイン氏を巡っては、裁判所の命令で公開された文書群に関係者の名前が含まれていたことから、通称「エプスタイン文書(エプスタイン・ファイル)」にも注目が集まりました。そうした人脈の構造を考える手がかりとして、作家のエルヴィラ・バリー氏が自身のYouTubeチャンネルで取り上げているのが「Blat(ブラット)」です。

The Epstein Scandal Isn't What You Think It Is! It’s about "Blat"... - YouTube


バリー氏によると、Blatとは「表向きには公式のルールがあっても、そのルール通りに動くだけでは必要なモノやサービスにたどり着けない時に機能する仕組み」です。

Blatはしばしば「汚職」と訳されますが、バリー氏はそれだけでは不十分だと述べています。汚職のような単発の不正行為というよりも、人間関係やコネを通じて公式の制度では得られないものを手に入れたり、公式の仕組みの外で物事を進めたりするもっと広い概念だということです。


Blatについて、Wikipediaでは「ロシアで見られた非公式な便宜のやり取りやサービスの融通、人脈、党とのつながり、闇市場での取引などを通じて、必要なものを手に入れたり、物事を有利に進めたりする仕組み」だと説明されています。特にソ連では、物やサービスが慢性的に足りない状況の中で広く使われていたとのことです。

バリー氏も「ソ連ではBlatが特別な抜け道ではなく、日常生活の一部だった」と語っています。まじめに勉強し、ルールを守り、決められた通りに並び、お金をきちんと払っていても、それだけでは不利になることがあったためです。


その例としてバリー氏は子どもの頃に友人の「オーリャ」から聞いた話を紹介しています。オーリャの母親は国際線の客室乗務員で海外に行く仕事をしていたため、一般には手に入りにくい品を持ち帰ることができました。例えばカラフルなヘアゴムやキャップ付きのペン、時にはレースの下着まであったそうです。そうした品を欲しがる人たちは、その母親と「友人」になろうとしたといいます。

ここで重要なのは、「見返りをはっきり口にしないこと」だとバリー氏は説明しています。例えば、贈り物をしたり、連絡を取り続けたり、頼まれる前からちょっとした親切を重ねたりするうちに、目に見えない「貸し借り」のようなものが少しずつ積み上がっていき、必要なタイミングが来たときにそれまでの関係が効いてくるとのことです。


さらにバリー氏は「金歯」の例も挙げています。普通の市民が金歯を入れたい場合は、制度を信じて金歯の材料になる金を自分で持ち込み歯科医がきちんと処置してくれることを期待しますが、実際には歯科医がその金をこっそり抜き取って安い合金に替えても患者には分からないかもしれず、疑っても証明する手段がない場合があるとバリー氏は述べています。

一方で、個人的なつながりを持つ人はただの患者として歯科医の前に行くのではなく、「オーリャの母親の知り合い」として行くことができます。すると歯科医の対応は大きく変わり、きちんとした処置を受けやすくなるとバリー氏は述べています。バリー氏はこの違いを制度を額面通りに信じる人と、人とのつながりを持つ人との差として説明しています。

さらにバリー氏は、制度を信じる人は「正しいことをすれば制度がきちんと報いてくれる」という建前を信じているのに対し、つながりを持つ人は「制度は表向きの仕組みに過ぎず、実際の判断は見えないところで行われる」と分かっているのだと述べています。

バリー氏は、こうした仕組みの中で重要なのは政治家そのものではなく、人と人をつなぎ、間を取り持つ人だと主張しています。オーリャの母親は大臣でも特別な才能を持つ人物でもありませんでしたが、飛行機に乗れる立場にあり、外国製品を手に入れられたことで、権力を持つ人にとっても価値のある存在になりました。

そうした希少なモノへのアクセスがある人は、人から頼られたり、別の相手を紹介したりする立場にもなりやすく、結果として人脈で動く非公式なネットワークの中心の一人になっていくのだとバリー氏は説明しています。


バリー氏は最後に、誰もが「公式の制度は表向きのものに過ぎない」と分かっているなら、制度を迂回することそのものが実際の制度のようになっていくと述べています。

Blatという言葉は違法行為を正当化するためのものではありません。公式の制度があるはずの社会でも実際には人間関係や貸し借りの積み重ねが物事の進み方を左右することがあるという構造を表す言葉として、バリー氏はBlatを説明しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
エプスタイン・ファイル218GBをAIモデル「Claude Opus 4.6」で精査した結果レポート「Epstein-research」が公開中 - GIGAZINE

エプスタイン・ファイルの情報をまとめたWikipedia風サイト「Jwiki」が登場 - GIGAZINE

エプスタイン関連の動画をYouTubeっぽくまとめた「Jefftube」やエプスタインのAmazon購入履歴をチェックできる「Jamazon」などが登場 - GIGAZINE

エプスタインはGoogleの検索結果を操作しWikipediaの記事を改ざんする大規模な印象操作を展開していたことが発覚 - GIGAZINE

in 動画, Posted by log1b_ok

You can read the machine translated English article What is 'Blat,' a key concept for unders….