海外版流行語大賞の1つが「スロップ(汚物)」に決定、「AIスロップ」のように使われる言葉

出版者のメリアム・ウェブスターが、「今年の言葉(Word of the Year) 2025」の年間最優秀語に、泥水や残飯などを指す「slop(スロップ)」を選出しました。2025年は、「AIが生成した低品質な粗悪品」を指す「AIスロップ」という言葉が大流行しました。
Word of the Year 2025 | Slop | Merriam-Webster
https://www.merriam-webster.com/wordplay/word-of-the-year
メリアム・ウェブスターは、スロップという言葉の意味を「AIによって大量に生成される低品質のデジタルコンテンツ」と定義。「2025年に氾濫したスロップには、荒唐無稽な動画、奇妙な広告画像、安っぽいプロパガンダ、本物そっくりのフェイクニュース、粗悪なAI生成書籍、そして大量のしゃべる猫が含まれていました。人々はこれを煩わしく感じつつも、むさぼるように消費しました」と分析しました。
スロップはスライムや汚泥のように触れたくない湿った音を連想させるもので、1700年代には「柔らかい泥」の意味で使われていました。後に1800年代には「豚の餌のような食品廃棄物」を意味するようになり、さらに一般化して「ゴミ」や「価値の低い、あるいは無価値な産物」を指すようになったそうです。

なお、メリアム・ウェブスターは「2025年の検索データで目立った単語」を他にもいくつか紹介しています。
◆Gerrymander
Gerrymanderとは、州や学区などを選挙区等で分割し、特定の集団や政党に不当な優位性をもたらす行為を指します。この言葉は、1700年代末から1800年代初頭にアメリカで政治家を務めたエルブリッジ・ゲリーの名前に由来するもの。ゲリーはマサチューセッツ州知事として、自党の議員当選を有利にするため選挙区の形状変更を試みました。この手法により非常に不規則で奇妙な形状の選挙区が生まれ、特にゲリーの地元選挙区はイモリに似た形状となっています。この奇妙な区割り図を見た野党議員がゲリーの選挙区に足と翼と頭を描き加え、「これでサラマンダーの完成だ!」と叫び、別の議員が「ゲリーマンダーだ!」と応じたことから、この言葉が定着したとのこと。
2025年、共和党と民主党が選挙での優位性を高めるために区画再編を行ったため、「ゲリーマンダー」は人気の検索キーワードになりました。

by Elkanah Tisdale (1771-1835) (often falsely attributed to Gilbert Stuart)
◆Touch Grass
Touch Grassは、「特にオンライン上の体験や交流とは対照的に、現実世界での通常の活動に参加すること」を意味します。この表現は、オンラインに没頭しすぎて現実世界との接点を失った人々に向けられることが多く、検索数が急増したのは2025年9月、チャーリー・カーク殺害事件を受けてユタ州知事スペンサー・コックス氏がソーシャルメディアの危険性について熱弁をふるい、「ログオフして電源を切り、草に触れ(touch grass)、家族を抱きしめ、外に出て地域社会で善行を積もう」と訴えた時期でした。
当初は侮蔑的な意味合いが強かったものの、デジタル依存から脱却したい多くの人々にとって、一種の願望、さらには挑戦すべき目標となりました。中には「無意味なスクロール」をブロックし、ユーザーが文字通り草に触れるまで解除しないというアプリも生まれたといいます。
◆Performative
Performative(パフォーマンス的)という言葉は、「自分のイメージを高めたり他者に好印象を与えたりするために行われる見せかけの行為」を意味します。2025年は、パフォーマンス的な政治活動や社会運動、「Woke(目覚め)」運動が行われ、多くの事象が「パフォーマンス的」と嘲笑されました。
◆Tariff
Tariff(関税)はドナルド・トランプ大統領が頻繁に用いた言葉で、関税政策が始まると多くの人が関税の正確な意味を理解しようと検索をかけたそうです。
◆Six Seven
Six Sevenは2025年にアルファ世代(おおむね2010年から2024年生まれ)の間で流行したスラングです。特に意味はなく、通常はジャグリングに似た独特の手の動きとともに「Six Seven」と唱えられます。その意味のなさゆえにティーンエイジャーの間で急速に広まりました。
もともとはラッパーのスクリラの曲「Doot Doot (6 7)」に由来。この曲では「67」が繰り返し登場し、フックとして使われています。この曲は身長6フィート7インチ(約193cm)のNBAスター、ラメロ・ボールを起用した動画やミームを通じてオンラインで人気を博し、2025年3月に行われたユースバスケットボールの試合でファンが録画した動画が話題になったことで急上昇しました。
67 Kid (ORIGINAL) - YouTube

◆Conclave
「コンクラーベ」という言葉の検索数は、2025年4月に教皇フランシスコが逝去した後、世界中のローマ・カトリック教会の枢機卿たちが後継者を選出するためにバチカンに集まった際に急増しました。
◆Lake Chargoggagoggmanchauggagoggchaubunagungamaugg
アメリカにある「チャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグ湖」のことで、アメリカでは最長の地名です。2025年、人気ゲーム「Roblox」内のゲーム「Spelling Bee」でこの湖が登場し、話題になりました。
なお、マッコーリー辞典は「AI slop」を、ケンブリッジ辞典は「parasocial(社会不適合)」を、Dictionary.comは「Six Seven」を、オックスフォード大学出版局は「rage bait(怒りを煽るコンテンツ)」を「今年の単語」に選出しています。
オックスフォード大学が選ぶワード・オブ・ザ・イヤー2025は「rage bait(怒りを煽るコンテンツ)」 - GIGAZINE

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in メモ, Posted by log1p_kr
You can read the machine translated English article 'Slop' Wins Overseas Buzzword of the Yea….






