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ダークモードはスマホのバッテリーを長持ちさせる効果が「ほとんどない」との研究結果、ダークモードが効果を発揮する使い方とは?


暗い色を基調としたUIにするダークモードには、目の疲労を軽減させたり電力の消費を抑えたりする効果があると、一般的には考えられています。しかし、独自の消費電力測定ツールを用いたアメリカ・パデュー大学の実験により、「ダークモードがバッテリーの持続時間を延ばす効果は極めて限定的」だということが分かりました。その一方で、ダークモードの活用により体感できるほどの省電力効果が発揮される使用場面があることも、この実験で判明しました。

How much battery does dark mode save? | Proceedings of the 19th Annual International Conference on Mobile Systems, Applications, and Services
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3458864.3467682

Dark mode may not save your phone’s battery life as much as you think, but there are a few silver linings - Purdue University News
https://www.purdue.edu/newsroom/releases/2021/Q3/dark-mode-may-not-save-your-phones-battery-life-as-much-as-you-think,-but-there-are-a-few-silver-linings.html

近年の多くのスマートフォンがディスプレイに採用する有機EL(OLED)は、液晶ディスプレイのようなバックライトを用いないため、暗い色を多用するダークモードによりバッテリーを長持ちさせることができるとされています


しかし、これまで行われてきた「ライトモードとダークモードの消費電力比較テスト」は、スマートフォン全体の消費電力やバッテリーの持続時間を調べるものがほとんどだったため、ディスプレイの消費電力だけを正確に知ることはできませんでした。

そこで、パデュー大学のYu Charlie Hu教授と博士課程学生のPranab Dash氏は、有機ELディスプレイの消費電力をほかの部品と切り分けることが可能な消費電力の計算モデルを構築し、それに基づいた消費電力測定ツールである「Per-Frame OLED Power Profiler(PFOP)」を開発。画面の明るさとして最も一般的な「30〜50%」の設定でダークモードを有効化し、「Googleマップ」「Googleニュース」「Phone by Google」「Googleカレンダー」「YouTube」「電卓」の6つのGoogle製アプリを60秒間使った場合の消費電力を調べました。

この実験の結果、ダークモードはライトモードと比較して「平均3~9%」しか電力を節約できず、体感できるほどバッテリーの持続時間が延びないことが分かりました。実験に用いられたのは、「Pixel 2・4・5」と「Moto Z3」の4機種のAndroid端末だけでしたが、研究チームは「iPhone XをはじめとするApple製の端末も同様の可能性がある」としています。


一方で、画面の明るさの設定を変えて行った別の実験により、ダークモードが効果を発揮することが期待できる使用場面が次の2通りあることも判明しました。

◆1:屋外など明るい場所でダークモードを使うケース
例えば、「よく晴れた日に野外でスポーツ観戦をしつつスマートフォンを使う」という場合、「明るさの自動調節」機能により画面が非常に明るくなるので、バッテリーの消耗も激しくなります。

そこで、Hu教授らが明るさ100%の場合におけるライトモードとダークモードの消費電力を比べた結果、ダークモードは平均して「39~47%」もバッテリーの消費を節約できることが分かりました。このことから、研究チームは「画面が極めて明るい状態でダークモードを使うと、同じ明るさのライトモードで使った場合より長くスマートフォンが使える可能性が高いです」と述べています。


◆2:暗いライトモードでは目が疲れるというケース
前述の通り、明るさが50%以下の状況であれば、ライトモードとダークモードとでは消費電力はほとんど変わりありません。実際に、Pixel 5でGoogleニュースアプリを使う際、「ライトモードで明るさ20%」の状態と「ダークモードで明るさ50%」の状態とでは消費電力が同じだということが、実験で確かめられています。

このため、研究チームは「暗いライトモードと明るめのダークモードとでは消費電力が同じなので、『目の疲れを抑えるためにダークモードにして明るさを上げたい』という場合でも、消費電力の増加を気にする必要はほとんどありません」と話しています。

Hu教授らは今後、今回開発した測定ツールのPFOPを応用した消費電力測定アプリ「Android Battery+」をアプリ開発者と共同で作成し、2022年中にリリースする予定とのことです。

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in モバイル, Posted by log1l_ks

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