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中国共産党の「我が党が中国に繁栄と平等をもたらした」という主張は真実なのか?専門家の見解とは

by 70023venus2009

2021年という「結党100周年」を迎えるにあたって、中国共産党は「我が党こそが中国に繁栄と平等をもたらした」という旨のプロパガンダを多数展開しています。そんな中国のプロパガンダについて、シドニー工科大学で現代中国史について教えるChongyi Feng准教授が「プロパガンダの真実」を検証しています。

The Communist Party claims to have brought prosperity and equality to China. Here's the real impact of its rule
https://theconversation.com/the-communist-party-claims-to-have-brought-prosperity-and-equality-to-china-heres-the-real-impact-of-its-rule-163350

◆1:中国の主権
中国共産党の主張の中で最も大々的に宣伝されるのが、「我が党が1949年に中華人民共和国を建国して国を統一し、独立を維持した」というものです。この主張に関連して、中国共産党は中国国民党が率いた前政権を「アメリカの帝国主義者による傀儡政権だった」とも非難してきました。

しかし、Feng准教授によると、「中国は中国共産党が国民党から武力で政権を奪う以前から、あらゆる面で完全な独立国だった」とのこと。第二次世界大戦の終結に際して中国は主権の回復に成功しており、1800年代に列強諸国と結んだ不平等条約を廃止し、香港とマカオをのぞく外国勢力が主張していた利権や領土のほとんどの奪還に成功。さらに独立した関税権を行使していたことなどがその理由です。実際に、国際連合が設立時に中国は安全保障理事会の常任理事国として選出されていますが、これは共産党政権の始まる1949年より前の「1945年」に起こった出来事です。

◆2:経済的繁栄
主権に関する主張以外では、中国共産党は「我が国の潜在的な力を引き出し、経済大国にした」といった経済的繁栄についての主張をよく行っています。しかし、Feng准教授は「共産党政権以前から工業化と都市化は順調に進んでいました」とバッサリ。上海は1930年代の時点で「東洋のパリ」と呼ばれる洗練された大都会になっていたと指摘して、戦争が続いていたにもかかわらず、都市の近代化や交通・産業・商業・金融などにおけるインフラは国土の大部分で構築されていたと主張しました。1930年に撮影された上海の写真は以下。


Feng准教授によると、当時の中国国民は農民までもが中華民国政府によって設立された近代的な法制度のもと、完全な財産権を享受できただけでなく、政府の干渉を受けることのない企業を設立して運営する権利を有していたとのこと。しかし、政権を握った中国共産党は私有財産を没収したため、Feng准教授は「都市部の資本家や農村部の地主をすべて排除した結果、経済成長の機会をふいにしました」と解説しています。

◆3:貧困根絶
経済的繁栄と並行して主張されているのが、「何億人もの中国人を貧困から救った」というストーリーです。一例として、中国共産党は2021年4月に「1970年に改革を始めて以来、7億7000万人を貧困から救った」と発表しています。

これについて、Feng准教授は「確かにここ数十年で貧困は激減しました」と認めながら、「しかし、そもそも中国共産党は政策の失敗によって何百万人もの人々を貧困に陥れたことを忘れるべきではありません」と指摘。農作物を食い荒らすスズメを駆除した結果、スズメが餌としてきた害虫が大量発生して「累計4500万人が餓死した」という説すら存在する大躍進政策を引き合いに出して、「決して許されるべきではない」と強く非難しました。

なお、世界銀行は2018年時点で「中国の人口の27.2%に相当する約3億7300万人が貧困にあたる」という見解を発表しています。

◆4:「人民民主主義」の確立
人民民主主義とは、共産党の領導のもとに一定の諸政党の存在と政権参画を許す体制を指します。毛沢東は「新民主主義論」という著作の中で共産主義実現の第一段階として、反帝国主義・反封建主義の「民主主義革命」を実行し、ある程度生産力が発展した段階を第二段階として「社会主義革命」を実施するとしていました。

しかし、1954年に制定された中華人民共和国憲法では、形式的に複数政党が認められたものの、中国共産党以外の政党は実質的に衛星政党となっています。

Feng准教授は1947年と1948年には複数政党による国会議員選挙と総統選挙が行われたにも関わらず、中国共産党がこれらを排除した点について「立憲民主主義への平和的な変革の機会を排除することで、権力を維持している」と言及。その具体的事例として、香港の民主化運動に対する弾圧を挙げました。


◆5:社会主義と平等
中国共産党が「社会主義が平等をもたらした」と宣伝している点について、Feng准教授は、共産党が地主・富農・反革命分子・破壊分子・右派を合わせた「黒五類」という被差別階級を作り上げたとコメント。黒五類にあてはまるとみなされた人は、公共の場で辱められたり、労働による再教育を受けさせられたり、殴打されたり、果ては処刑されたりしただけでなく、その人の子孫まで教育差別や雇用差別を受けることもあったそうです。現代の中国でも都市部に生まれた子どもと農村に生まれた子どもは違う戸籍で管理されるという「農村戸籍」が存在し、農村に生まれた人々は職業面や教育面などで差別的な取扱いを受けているという現実が存在します。

コラム 海外経済の潮流120:中国における格差 : 財務省
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201903/201903l.html

これに関連して、Feng准教授はウイグル人ムスリムを教育しているとされる施設「新疆ウイグル再教育収容所」についても「中国共産党の権力を脅かす存在を根絶する方法として活用されている」と言及しています。

◆6:文化の保護
中国共産党は近年では民族宗教や古城の保護、チベット文化の伝承・保護などの取り組みを実施し、「中国文化を保護する」という立ち位置の主張を行っています。しかし、Feng准教授は中国共産党が文化大革命で旧思想・旧文化・旧習を組織的に破壊するという組織的活動を展開した結果、数多くの貴重な古書、絵画、その他文化的遺物が焼失したという点を挙げて、「中国共産党はずっと前に中国の伝統文化を根こそぎ奪い尽くしました」と述べています。なお、文化大革命の際に破壊されたといわれる仏像は、顔が完全に潰されています。

By Pat B

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in メモ, Posted by log1k_iy

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