新型コロナウイルス感染のまさにその瞬間や複製メカニズムをアニメーションで分かりやすくするとこうなる
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ株は依然として世界中で猛威をふるっていますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行初期に比べてウイルスについて多くの情報がわかってきています。そんな情報をもとにユタ大学の生化学者や科学アニメーターらが協力し、「SARS-CoV-2の感染するまさにその瞬間」をアニメーションにしました。
SARS-CoV-2 Visualization and Annotation Project — The Animation Lab
https://animationlab.utah.edu/cova
Coronavirus Annotation
https://coronavirus-annotation-3.sci.utah.edu/
How the coronavirus infects cells — and why Delta is so dangerous
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02039-y
「Coronavirus Annotation」にアクセスするとこんな感じ。画面中央の画像をクリックするとアニメーションがスタートします。
SARS-CoV-2のうちスパイクタンパク質は緑、膜タンパク質は黄、エンベロープタンパク質は赤で示されています。
アニメーションはインタラクティブになっており、カーソルを置いた部分に「それが何か」の説明が示される仕組み。
断面図はこんな感じ。ヌクレオカプシドタンパク質は灰色、RNAはオレンジの部分です。
SARS-CoV-2の受容体となるACE2(紫)やタンパク分解酵素のTMPRSS2(茶)・フーリン(黄)などが存在する細胞表面に、SARS-CoV-2が近づいていきます。
インフルエンザウイルスの外部融合タンパク質は比較的硬いのですが、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は非常に柔軟性があり、ヒンジのように折れ曲がったり、揺れたり回転したりすることで結合を容易にするとのこと。スパイクタンパク質の凹凸がACE2の凹凸と合致し……
フーリンも膜タンパク質とリンク。
TMPRSS2はスパイクタンパク質のうち容体結合ドメイン(RBD)の存在する一部分をカット。
するとスパイクタンパク質が分解され、パーツをACE2などが持っていってしまい……
疎水性アミノ酸がスパイクタンパク質から流出。
これが細胞膜に刺さり……
ぐぐっと折れ曲がることで、SARS-CoV-2と細胞膜の距離を近づけます。
ウイルスと細胞が接着。
そしてウイルスのゲノムが細胞へと取り込まれていくわけです。
アニメーションの下にはスライダーがついていて、好きな部分から再生可能で、スライダーの下には色分けされたタンパク質などがアニメーションのどの時点で出てくるのかが分かりやすく表示されています。
また画面左側には注釈があり、例えば赤枠で囲っている部分にはタイムラインの「00:17-01:24」の時点で起こっていることの解説が書かれていました。
さらに、アニメーションの上部にタブがあり、感染の瞬間をアニメーションにした「Entry」の隣にある「Early Translation(初期の翻訳)」をクリックすると、タンパク質を合成する翻訳の過程を見ることが可能。
その隣のタブは「Translation Overview(翻訳の概要)」
右端のタブで「Translation Hypothesis 1(翻訳の仮説1)」と……
「Translation Hypothesis 2(翻訳の仮説2)」を見ることができます。
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