サイエンス

遺伝子編集技術CRISPRで新型コロナを治療する方法が編み出される


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新たな治療法として、遺伝子編集技術「CRISPR」を使ってウイルスの複製を止める方法が編み出されています。研究は初期段階ですが、変異株に対しても効果を発揮すると研究者は発表しています。

Reprogrammed CRISPR-Cas13b suppresses SARS-CoV-2 replication and circumvents its mutational escape through mismatch tolerance | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-021-24577-9

CRISPR stops coronavirus replication in human cells | Live Science
https://www.livescience.com/crispr-block-coronavirus-replication-treatment.html

遺伝子変種技術「CRISPR/Cas9」は、遺伝子編集にかかるコストと時間を大幅に削減できる画期的な手法として、2020年にノーベル化学賞を受賞しました。この技術は、Cas9という酵素で標的DNAを切断するものですが、その後の研究で「Cas12a」「Cas13」といった酵素で一本鎖RNAを切断できることも判明しました。


CRISPR/Cas9がどのような技術で何がすごいのかは、以下の記事から読むことができます。

遺伝子編集技術「CRISPR」とは何かがわかるムービー、そして人類の未来はどうなるのか? - GIGAZINE


2021年7月13日にNature Communicationsで発表された新たな研究では、Cas13bという酵素を使用して「標的であるRNA鎖を破壊する」方法が編み出されました。COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2はRNAウイルスであるため、研究チームはSARS-CoV-2のRNAに含まれる特定の部位を標的とするように、CRISPR/Cas13bを設計しました。

研究に関わるピーターマッカラムがんセンターの声明によると、Cas13b酵素がRNAに結合すると、SARS-CoV-2の複製に必要な部分が破壊されるとのこと。論文の筆頭著者であるピーター・ドハティ感染免疫研究所のSharon Lewin氏は「ウイルスが認識されると、CRISPRの酵素はウイルスを切り刻みます」と説明しています。この方法は、SARS-CoV-2のアルファ株(B.1.1.7)を含む幅広い変異株にも有効であると考えられています。

COVID-19はファイザーやモデルナ製のワクチンが配布されていますが、ワクチンが普及すると、ウイルスがワクチンの効果を逃れようと進化する可能性があると懸念されています。このためワクチンだけでなく、COVID-19の診断後に服用する治療薬の開発が望まれており、CRISPR/Cas13bを使ったRNAへのアプローチが1つの方法になり得るとのこと。


ただし、CRISPR/Cas13bを使った新たなアプローチはまだ研究の初期段階です。研究者は今後、動物実験や臨床試験を行うことを計画していますが、治療薬が完成して市販されるまでには何年もかかるとみられています。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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