サイエンス

「VRでジェットコースターに乗る実験」から片頭痛に苦しむ人の脳の特徴が明らかに


発作的に頭痛が走る「片頭痛」は、状況によっては吐き気や知覚にも変化が生まれるといわれていますが、原因は不明です。また、定期的に片頭痛に苦しめられる人もいれば、まったく片頭痛になったことがない人もいます。そこで、片頭痛になっている時に脳でどんなことが起こっているのかを解明するべく、バーチャルの世界でジェットコースターに乗っている人の脳を調べる実験が行われました。

Brain Processing of a Visual Self-Motion Study in Patients With Migraine: An fMRI Study | Neurology
https://n.neurology.org/content/early/2021/07/20/WNL.0000000000012443

What Does a Virtual Roller Coaster Ride Tell Us About Migraine?
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/4910

Virtual Roller Coaster Ride Reveals Key Brain Differences in People With Migraine
https://www.sciencealert.com/virtual-roller-coaster-ride-reveals-key-differences-in-migraine-sufferers

片頭痛に悩まされている人は世界人口のおよそ15%といわれていますが、片頭痛の原因は未解明。多くの科学者が片頭痛発作の原因を解明して治療法を見つけるためにさまざまな研究を行っています。


ドイツのハンブルグ大学の神経学者であるアルネ・メイ氏らの研究チームは、頭痛外来で片頭痛の既往歴があり月4回以上の発作に悩まされている20人と、まったく片頭痛になったことがない20人を集めました。

研究チームは、脳の血流動態を観測できる機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)で被験者の脳活動を観測しながら、被験者に仮想現実(VR)で一人称視点のジェットコースターの映像を音声つきで体験させました。


その結果、片頭痛の発作は起こりませんでしたが、片頭痛持ちの20人のうち13人が乗り物酔いを感じました。また、吐き気は長く続き、その度合も強かったことがわかりました。一方で、片頭痛になったことがない20人のうち、乗り物酔いを感じたのは6人でした。

さらにfMRIの結果を見ると、片頭痛持ちの人は視覚処理に関わる後頭葉の2箇所を含む5つの脳領域で活動が活発化していることが確認されました。メイ氏によれば、他にも運動をつかさどる橋核でも神経細胞の活動が顕著に見られたそうで、「この神経細胞の活性化は、脳内での視覚や聴覚の異常に関連している可能性があります」と述べています。

研究チームは、今回の研究で示された脳活動の変化を、片頭痛に伴う脳活動の変化と比較する研究に移行しており、結果次第では新たな治療法も見つかる可能性があるとしています。メイ氏は「今後の研究では、より多くの片頭痛患者を対象として、今回の結果が確認できるかを調査する必要があります」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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