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iOSでもAndroidでもないLinuxベースのモバイルOSをインストールできる「PinePhone」の使い勝手とは?


近年出回っているスマートフォンのほとんどは、iOSかAndroidをOSとしてインストールしており、その他のOSの利用者はごくわずかです。そんな中、LinuxベースのOSを好みに応じてインストールできる低価格スマートフォン「PinePhone」について、テクノロジー関連のライターであるアーニー・スミス氏が実際の使用感を報告しています。

The $149 Smartphone That Could Bring The Linux Mobile Ecosystem to Life
https://www.vice.com/en/article/v7e77y/the-dollar149-smartphone-that-could-bring-the-linux-mobile-ecosystem-to-life

PinePhoneはシングルボードコンピューター「Quartz64」やオープンソースタブレット「PineTab」などを展開するPINE64が開発したオープンソーススマートフォンで、好みに応じてLinuxベースのモバイル端末向けOSをインストールすることが可能なデバイスです。

PINE64が展開するデバイスの中でも高性能なノートPCである「Pinebook Pro」には高速なNVMe規格のSSDや、802.11acに対応した高速な無線LANチップなどの比較的新しいハードウェアが搭載されています。しかし、PinePhoneには性能の低いCPUが搭載され、無線LANは802.11nという古い規格にしか対応していません。スミス氏は「ほとんどのPinePhoneユーザーはSIMカードを挿入せずWi-Fi環境でPinePhoneをいじくりまわすため、古い通信規格にしか対応していない点にイライラするでしょう」「PinePhoneは149ドル(約1万6500円)で購入できます。しかし、近い価格でPinePhoneよりも性能の高いAndroid搭載スマートフォンが多く存在しています」と述べ、ただ単に安いスマートフォンを求めているユーザーはPinePhoneを買うべきではないと指摘しています。

スミス氏によると、PinePhoneを購入するユーザーの多くは、OSの試用や最新ビルドの動作確認のためにmicroSDの抜き差しを頻繁に行うとのこと。しかし、PinePhoneのmicroSDスロットはバッテリーを取り外さないとアクセスできない位置に搭載されています。スミス氏はこの設計について「電源を入れた状態でmicroSDを抜き差しすることは望ましくないため、この設計は理にかなっているかもしれません。それでも、何度も同じ操作を繰り返すのはイライラします」と苦言を呈しています。


また、PinePhoneには充電や通信に用いるUSB Type-Cポートが搭載されていますが、スミス氏が入手した個体ではUSBポートが緩く、ケーブルが非常に抜けやすくなっているとのこと。スミス氏は「PINE64は、PinePhoneのUSBポートの配置を変更するか、ケーブルが抜けにくいように補強を施すべきです」と指摘しています。

上記のようにスミス氏はPinePhoneのハードウェアに多くの不満を持っていますが、PinePhoneに搭載されているモデム・無線チップ・マイク・リアカメラ・フロントカメラ・ヘッドフォン端子の電源を個別に切ることができるスイッチについては「この機能はプライバシーを重視する人にとって朗報です」と述べています。また、PinePhoneが比較的簡単に分解可能な点についても称賛しています。


ハードウェア面では厳しめな評価を下したスミス氏ですが、「PinePhoneの最大のメリットは、多くのLinuxベースモバイルOSの進歩を確認できることです」「PinePhoneはオープンソースモバイルOSに家を提供します」と述べ、PinePhoneがLinuxベースモバイルOSの開発環境として有用なデバイスであることを評価しています。

PinePhoneには、KDEプロジェクトの一環として開発されているLinuxベースモバイルOS「Plasma Mobile」を搭載した「PinePhone: KDE community edition」がラインナップされていますが、他にも「Ubuntu Touch」「Sailfish OS」「postmarketOS」といったリッチなUIを備えたLinuxベースモバイルOSをインストールできます。


さらに、テキストベースの操作画面を備え、音量上下ボタンや電源ボタンを用いた独特な操作感が特徴の「Sxmo」も利用できます。スミス氏は「Sxmoは私が見てきたモバイル向けOSの中でもかなり実験的なOSです。Sxmoが大勢の興味を得ることは難しいでしょうが、SxmoのようなOSが存在するという事実は非常に刺激的です」とSxmoを大絶賛しています。実際にSxmoをインストールしたPinePhoneを操作する様子は、以下のムービーで確認できます。

Sxmo: Simple X Mobile on PinePhone - YouTube


スミス氏によると、上記のOSはPinePhone以外のスマートフォンでも動作するとのこと。しかしスミス氏は「PinePhoneには、ARMプロセッサや加速度計、GPS、ヘッドホンジャックといったモバイルOSの開発者が求めるスマートフォンの基本機能が網羅されています」「PinePhoneはモバイルOSを開発する上でのリファレンスとなり得ます」と述べ、LinuxベースモバイルOSの開発におけるPinePhoneの有用性を強調しています。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1o_hf

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