ソフトウェア

自らプログラムした「人工生命」の繁栄や攻防をシミュレーションできるソフトウェア「artificial life environment」


地球上に生命が誕生したのは38億年前頃だと考えられており、当初は非常に原始的な生物だけだったのが長い時間をかけて複雑性を獲得し、やがて人類が誕生するに至りました。そんな生物の進化や異なる生物種間の攻防をシミュレーションし、まるで生命を創造した神になった気持ちを味わえるソフトウェアが「Artificial Life Environment(ALiEn)」です。

artificial life environment
https://alien-project.org/

GitHub - chrxh/alien: alien is a GPU-accelerated artificial life simulation program.
https://github.com/chrxh/alien

ALiEnは、物理・レンダリングエンジンに基づく人工生命のシミュレーションプログラムであり、NVIDIAが開発・提供しているGPU向けの並列コンピューティングアーキテクチャおよびプログラミングモデルのCUDAで構築されています。ユーザーは、プログラミングするか用意された特徴を選択して人工生命を創造することが可能であり、さまざまな内部プロセスが循環トークンによってランダムで発生する人工的な生態系を作り出し、成り行きをシミュレーションできるとのこと。

実際にALiEnで作り出した人工生命や生態系がどうなっているのかは、以下のムービーを見るとよくわかります。

Planet Gaia - YouTube


これがALiEnで作り出した人工生命たち。深い海を連想させる紺色の背景に多種多様な人工生命がひしめき合っており、花のような構造を持つ生物もいれば細長い虫のような形状の生物もいて、色も青色や緑色、赤色などさまざまです。


視点を引いて見てみるとこんな感じ。ALiEnはGPUで実行され、数百万もの粒子や生物、物体が相互作用する大規模なリアルタイムシミュレーションに最適化されているとのこと。


場所によって特定の生物が多かったり少なかったりするなど、独自の生態系が構築されています。それぞれの生物は外力や他の生物との接触・攻撃などの影響を受けるほか、場合によってはランダムで突然変異を起こすこともあるそうです。


この生物は「Replicating Triangles(レプリケイティング・トライアングルズ/複製する三角形)」という名称だそうで、自己を複製し、付近のリソースをエネルギーに変換するそうです。基本的には一部に穴が空いた三角形をしていますが、時には一部分が欠けたり全体が崩れたりしている個体も見られます。ALiEnで作り出した生物は周囲の粒子や別の生物とぶつかって損傷したり、バラバラになったり、一部が融合したりする可能性もあるとのこと。


「Self-deploying Machines(セルフデプロイング・マシンズ/自己展開する機械)」という名称の生物は、内部に格納されている設計図に従って構造体を作り出す機能を持っています。


左上や右下の毛が生えたように見える円形の生物が「Toxic Loops(トキシック・ループス/有毒な輪)」です。


トキシック・ループスは素早く自己複製し、表面から放つ円形の粒子で周囲の構造物を攻撃するとのこと。そのため、周囲の生物が防御機構を持っていなければ、生態系にとって大きな脅威となります。


カメラを引いてみると、トキシック・ループスが存在する周囲には他の生物が少なく、ぽっかりと穴が空いたようになっているのがわかります。


「Interceptor Machines(インターセプター・マシンズ/横取りするマシン)」は、巨大な構造物や生物を検出して、衝突してくる生物です。


そのため、大きな構造を持つ生物にとって非常に危険な存在だとのこと。


「Gaia Blossoms(ガイア・ブロッサムズ/ガイアの花)」は……


ただきれいなだけの存在です。


「27M-TS Mutants(27M-TSミュータンツ/27M-TS変異体)」は、自己複製機能を持ち、複製プロセス中に高速回転する生物だとのこと。この変異体は数千世代にわたる進化の後、敵対的な周囲の環境に適応する形で生まれたそうです。


ALiEnでは独自の生物を設計して繁殖や進化のプロセスをシミュレーションすることが可能であり、高速でリアルな物理エンジンを備えた一種のゲームとも考えられます。また、学術的にも生態系全体が環境変化に適応して均衡状態に達する方法を観察したり、単純な構造の生物から複雑な生物が発生する様子をシミュレーションしたりできるとのこと。


なお、ALiEnのシステム要件はWindows 10搭載マシンであることに加え、Compute Capabilityのバージョンが6.0以上のNVIDIA製グラフィックカード、4GBのビデオメモリ(VRAM)が必要とのことです。

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in ソフトウェア,   動画, Posted by log1h_ik

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