最新グラボから旧式グラボまで対応の超解像技術「AMD FidelityFX Super Resolution」をAMDが解説
AMDが2021年6月22日に、6月上旬に開催された台北国際コンピュータ見本市(Computex 2021)で発表した新技術である「AMD FidelityFX Super Resolution(FSR)」に対応するゲームタイトルを公開するとともに、この技術の概要を解説しています。
AMD FidelityFX Super Resolution is Here - AMD Community
https://community.amd.com/t5/blogs/amd-fidelityfx-super-resolution-is-here/ba-p/477919
近年では、ゲーマーはノートPCを使い、高解像度のディスプレイでプレイし、レイトレーシングなどの次世代映像技術を楽しみ、ハードウェアのパフォーマンスを最大限に引き出しながらゲームをしています。また、開発者もこうした需要に応えるべく、幅広いハードウェアをサポートし、できるだけ多くのゲーマーが高いフレームレートでゲームをプレイすることを目標にするようになりました。
その中で、ゲーマーと開発者の共通の課題になってきたのが、アップスケーリングです。これまでもアップスケーリング技術はありましたが、AMDがComputex 2021で打ち出した新技術であるAMD FidelityFX Super Resolution(FSR)は、これまでとは一線を画したアップスケーリング技術とのこと。
FSRの特徴は、レイトレーシングなど要求する性能が高い技術を使った時のパフォーマンスの向上、高リフレッシュレートのモニターで最新ゲームをプレイした時の高フレーム状態の達成、ノートPCや旧型のグラフィックカードで最新ゲームをプレイした際のパフォーマンスなどが挙げられます。例えば、FSRの「Performance」モードでは4KのゲームのパフォーマンスがFSRを使わない場合の平均2.4倍になるとのこと。「Performance」以外を含め、FSRは後述する4つのモードを搭載しているので、最新のグラフィックカードから2016年式のAMD製グラフィックカードまで、幅広いハードウェアをカバーします。
FSRはまた、ゲーム開発者へのサポートを念頭に開発されており、さまざまなOSやAPIで動作し、統合が容易でゲームごとの特別な調整も不要。AMDのオープンソースSDKであるGPUOpenで提供されている他のFidelityFX技術と併用することも可能なので、レイトレーシングのような高度な機能を幅広いゲームに盛り込むことができます。FSRは、2021年7月中旬にオープンソース化され、GPUOpenを通じてゲーム開発者に提供される予定です。
FSRが具体的にどのように機能するかを示した図が以下。FSRはまず、ゲームのレンダリング解像度を下げてパフォーマンスを確保した後、ターゲットとなる解像度までアップスケーリングし、画質をネイティブに近いレベルまで向上させます。
具体的なアップスケーリング処理の順番は、まず映像を解析してエッジを検出し、目標とする高解像度で再構成します。次に、シャープネス処理を行ってピクセルのディティールをより精細にします。この2つの処理はグラフィックスパイプラインの中でワンステップで行われるので、ゲーム開発者は簡単にゲームをFSRに対応させることができるとのこと。
FSRには、ネイティブレンダリングとほぼ変わらない最高品質の「Ultra Quality」モード、ネイティブレンダリングに近い画質の「Quality」モード、ゲーマー向けの優れたパフォーマンスを発揮する「Balanced」モード、究極のパフォーマンスを追求する「Performance」モードが搭載されています。
各モードが一般的なゲーム解像度で動作する際のスケールファクターと入力解像度の表が以下。
モード | スケールファクター | 1440pで出力した場合の入力解像度 | 同4K |
Ultra Quality | 1.3倍 | 1970 x 1108 | 2954 x 1662 |
Quality | 1.5倍 | 1706 x 960 | 2560 x 1440 |
Balanced | 1.7倍 | 1506 x 847 | 2259 x 1270 |
Performance | 2.0倍 | 1280 x 720 | 1920 x 1080 |
また、以下はRadeon RX 6900 XTでFSRを使った場合におけるパフォーマンスの向上を示す具体的なベンチマーク結果で、グラフはFSR対応タイトルの「TERMINATOR: RESISTANCE(左)」「Godfall(中央)」「The Riftbreaker(右)」を「FSRオフ(1% LOW FPS:最もFPSが低い1%時の数値)」「FSRオフ(AVG FPS:平均FPS)」「FSRオン(1% LOW FPS)」「FSRオン(AVG FPS)」でプレイした際のスコアを表しています。
Radeon RX 6800 XT
Radeon RX 6700 XT
Radeon RX 6800M
Radeon RX 580
FSRに対応したAMD製品は「AMD Radeon 6000シリーズ」「AMD Radeon 6000Mシリーズ」「AMD Radeon 5000シリーズ」「AMD Radeon 5000Mシリーズ」「AMD Radeon VII」「AMD Radeon RX Vegaシリーズ」「AMD Radeon 600シリーズ」「AMD Radeon 500シリーズ」「AMD Radeon RX 480/470/460」「AMD Radeonを搭載したAMD Ryzenデスクトッププロセッサ/モバイルプロセッサ」です。
また、FSRはAMD製品だけでなくNVIDIAにも対応しています。例えば、GeForce GTX 1060でのベンチマーク結果が以下の通り。このほか、GeForce RTX 30/20シリーズやGeForce RTX GTX 16/10シリーズに対応していることが確認されているとのことです。
すでに、「Godfall」「The Riftbreaker」「22 Racing Series」「Anno 1800」「Evil Genius 2: World Domination」「Kingshunt」「TERMINATOR: RESISTANCE」がFSRに対応していることが判明しています。
また、「Asterigos」「Baldur's Gate 3」「DOTA 2」「Edge of Eternity」「Far Cry 6」「Farming Simulator 22」「Forespoken」「Myst」「Necromunda:Hired Gun」「バイオハザード ヴィレッジ」「Swordsman Remake」「Vampire: The Masquerade - Bloodhunt」などが対応することも予定されています。
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