ハードウェア

スマートホームの室内温度が遠隔操作で勝手に上げられる事態が多発


アメリカ・テキサス州ヒューストンで、室内温度を調整するための温度調節器・サーモスタットの設定温度が電力会社側に遠隔操作されるという事態が複数報告されています。

'Woke up sweating': Some Texans shocked to find their smart thermostats were raised remotely | khou.com
https://www.khou.com/article/news/local/texas/remote-thermostat-adjustment-texas-energy-shortage/285-5acf2bc5-54b7-4160-bffe-1f9a5ef4362a


Texas residents enraged as energy companies remotely raise temperatures on smart thermostats
https://www.androidpolice.com/2021/06/20/texas-residents-enraged-as-energy-companies-remotely-raise-temperatures-on-smart-thermostats/

Texas power companies are raising smart thermostat temps. Here's why.
https://www.usatoday.com/story/tech/2021/06/19/texas-power-companies-raising-smart-thermostat-temps-why/7754658002/

PSA: If you enrolled in an energy saver program, your smart thermostat may adjust itself - The Verge
https://www.theverge.com/2021/6/18/22540015/psa-energy-saver-program-smart-thermostat-adjust-temperature-heat

テキサス州電力・ガス取引監視等委員会(ECROT)は、2021年6月16日(水)に同州の住民に対して節電をお願いしており、具体的にはサーモスタットの設定温度を華氏78度(摂氏約25.5度)に上げることを推奨していました。

テキサス州ディアパーク在住のブランドン・イングリッシュ氏の自宅でもサーモスタットの設定温度は華氏78度に設定されていたそうですが、同氏が仕事から帰ってきた際には「昼間だったこともあり家の中は暑かった」とのこと。そこで、イングリッシュ氏は14時30分頃にサーモスタットの設定温度を下げて、そのまま妻や娘たちと午後の昼寝をしたそうです。しかし、昼寝をしてからしばらくして「汗をかいて目が覚めた」とのこと。サーモスタットの設定温度を下げて昼寝したはずなのに、家の中は「たまらなく暑かった」そうで、いつの間にかサーモスタットの設定温度が上がっていたそうです。

イングリッシュ氏の妻によると、当日の昼寝をする少し前にECROTから「サーモスタットの設定を遠隔操作し、3時間の節電タイムに入ります」という通知があったそうで、この節電タイムにサーモスタットの設定温度が遠隔操作で上げられてしまったわけです。イングリッシュ氏は「生後3か月の娘がおり、彼女は大人よりも多く汗をかいて脱水します」と語り、サーモスタットの設定温度を勝手に上げられたことに怒りを示しています。


イングリッシュ氏の家に設置されているサーモスタットは、新しいホームセキュリティパッケージとして数年前に設置されたもので、「SmartSaversTexas」と呼ばれるプログラムに参加していました。「SmartSaversTexas」を運営するのはEnergyHubという企業で、同社は「懸賞への参加権」や「毎月の電気代の割引」と引き換えに、電力消費の激しい時期に「SmartSaversTexas」に参加している家庭のサーモスタットの設定温度を遠隔操作する許可を得ています。

イングリッシュ氏はこの事実を知った後、「SmartSaversTexas」の契約を解除したそうで、「他の誰かに私のサーモスタットをコントロールしてほしくない」と語っています。イングリッシュ氏と同じよう「SmartSaversTexas」に参加している家庭のサーモスタットが遠隔操作されている事例が複数報告されており、中には電源がオフになっていたはずのサーモスタットが勝手についていた、というものも報告されています。


テキサス州では「SmartSaversTexas」のような報酬を提供する代わりにサーモスタットの設定温度を遠隔操作する権利を電力会社側が得ることとなるプログラムが複数存在しており、例えば「WiFi Thermostat Rewards」というプログラムでは、参加すると最大85ドル(約9400円)の節約が可能になるとアピールされています。これらの節電プログラムに参加している家庭のサーモスタットの設定温度が遠隔操作で操作されたため、イングリッシュ氏のように「勝手にサーモスタットの設定温度を操作された」と報告する事例が多数上がっているわけです。

EnergyHubの顧客ソリューション担当副社長であるエリカ・ダイアモンド氏は、「SmartSaversTexas」について「プログラムに参加している家庭のサーモスタットの温度を最大4度上げ、電力消費を削減し、電力網への負荷を軽減します。顧客はいつでもプログラムから退会可能ですが、節電のために遠隔操作でサーモスタットの設定温度が調整されるのは、毎年夏に2~8回ほどだけです」と語っています。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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